
オール電化とは?メリットやデメリットを比較して失敗しない選び方をしよう
2021/10/31
こんにちは!エコの大臣です。
ガスを使わずに、照明以外の給湯や調理などの熱源もすべて電気でまかなうオール電化住宅。最近では新築住宅やマンションでの採用率も高く、引っ越しやリフォームの際にはガスにするかオール電化にするか悩んだという方も少なくないと思います。
オール電化について「光熱費が安くなる」、「火事になりにくい」などオール電化を勧められたから何となく導入してしまったという場合には思わぬ落とし穴が待っているかも…。
そこで、今回は今まで「オール電化って何となくこんなものでしょ。」という初心者の方に向けて、オール電化の特徴やメリット・デメリットについて詳しくお伝えしていきます。
目次
オール電化とは?
オール電化住宅とは、読んで字のごとく「照明、暖房、給湯」などお家の中を全て電気のエネルギーで動く設備を利用する住宅のことです。
お湯を沸かしたり、食品を加熱調理するにはガスや灯油などの燃料を直接燃やして得た熱を利用していましたが、技術の発達により火を使わなくても十分な熱量を産み出すことが可能になりました。
20年ほど前から台所のIHクッキングヒーターの性能が向上して、ガスコンロと比べても遜色のない火力が出せるようになったことや、当時全国で稼働していた原子力発電所の余剰電力をエコキュートや電気温水器などがうまく活用する手段として見いだされ、電力会社と電機メーカーがとにかく宣伝しまくったこともあって(ここ重要)、急速に広まっていきました。
実用化されてからの歴史はまだ浅いですが、現在では住宅の約10%前後で導入されており、その数をまだまだ伸ばし続けています。
オール電化とはこんな設備を利用する
一般的なオール電化住宅への切り替えで必要になる設備をご紹介していきます。ガスと違うのは「台所のコンロ」、「給湯器」、「暖房器具」の3点です。それぞれの器具の特徴やガスとの違いについて簡単に説明していきます。
IHクッキングヒーター
IHクッキングヒーターはガラス製のトッププレートの下に電熱線のコイルが大量に設置されており、コイルの中に電流が流れたときに発熱する仕組みになっています。
直火ではなく、発生した熱を直接調理器具に伝える仕組みになっています。
最近のIHクッキングヒーターは200Vの電源を使用していますし、調理器具に直接熱を伝える仕組みになっていますので、ガス火にも負けないほどの高火力を実現しました。
温度調整も簡単ですし、空焚き防止やロック機能など安全に使うための機能も充実しています。
ガスコンロとの違いに関しては・・・
・加熱の際に、直火を使わない
・磁石にくっつく材質の調理器具しか使えない
などが挙げられます。
給湯
お風呂のお湯などを沸かす給湯器。オール電化の場合は、電気の力でお湯を沸かす電気温水器やエコキュートを利用します。
2つの給湯器はお湯を沸かす仕組みが違っていて、電気温水器の方は貯湯タンクの内部に付いている電熱線のヒーターの熱を使ってお湯を沸かします。
一方のエコキュートはエアコンや冷蔵庫などにも使われているヒートポンプ式を採用しており、0から熱を発生させるのではなく、空気中に自然に存在する熱を集めて圧縮し、その熱を利用してお湯を沸かす仕組みになっています。熱を生み出すよりも集めるだけの方がエネルギーの効率が良く、従来の電気温水器と比べると毎月の電気代が約3分の1で済むようになっています。
まだまだ電気温水器も数多く残っていますが、一戸建てでは交換の際にエコキュートを採用される方が90%以上となっており、置き換えが進んでいっています。
マンションの場合は、設置スペースや規約などの制約があるので、電気温水器が使われていることが多いです。
ガス給湯器との違いは・・・
・お湯を使う時に高温で沸かして出湯するのではなく、あらかじめお湯を沸かしてためておく貯湯式になっている
・ガスや灯油を燃やした火ではなく、空気中の熱を使ってお湯を作るので火事やガス漏れの心配がない
・一度に使えるお湯の量には限りがあるので、使いすぎるとお湯切れする
などが主な違いになります。
特にお湯を使いすぎるとお湯切れしてしまうので、「普段からお湯を使う量が多い=ガス代がかなり高い」ご家庭様では使い方にお湯の使い方に気を付けないといけません。
電気式床暖房
床下に電熱線のヒーターや温水パイプを通して、床を暖めます。
床から伝わる熱と、床から部屋全体に拡がる熱の組み合わせで暖めます。
空気の流れがないので、ホコリが舞ったりエアコンのニオイが気になったりすることもありません。また、ヒートポンプ式の温水床暖房であれば、低温やけどになる心配も少ないですし、熱源に火を使わないので安全に使用することが出来ます。
ガス式の床暖房と比較すると・・・
・ランニングコストはヒートポンプ式床暖房の方が安くなる
・暖まるまでのスピードや、温度などガスと比べるとパワー不足
というのが主な違いです。
蓄熱暖房機
蓄熱暖房機は、耐火レンガや蓄熱レンガを加熱して熱を蓄えておき、その後長時間にわたって加熱したレンガからの放熱を利用し、空間を暖める仕組みの暖房器具です。
エコキュートなどの給湯器と同じく、深夜電力の安い電気を利用して蓄熱するので、部屋中をしっかり暖めてくれるのに値段は安く済むので、こちらを導入される方も多いです。
小型のものと大型の据え置きタイプがありますが、暖房の能力などを総合的に判断すると大型タイプが設置されることがほとんどです。
ガスや灯油のヒーターのように空気の乾燥も少なくて済みますし、火も使わないので安心してお使い頂くことが出来ます。
この他、オール電化に切り替えた場合には、夏の冷房だけでなく、冬の暖房にもエアコンを使うのが基本になりますので、出来る限り省エネ性能の高い物をお選びになることをおススメします。
オール電化のメリット
オール電化住宅に切り替えた場合のメリットやデメリットをまとめました。まずは、オール電化のメリットについて確認していきましょう。
光熱費が安くなる
オール電化のメリットは何と言ってもそのランニングコストの安さにあります。オール電化に切り替えると、各地域のオール電化向けの電力プランに加入することが出来ます。
夜間の時間帯の電気を格安で使えるようになりますので、上手に活用することで光熱費を安く抑えることが出来ます。プロパンガスをご利用されている地域では、新築住宅のオール電化の採用率が90%近くあるところもあり、非常に人気が高いです。
オール電化とガス併用の料金の比較に関する詳しい記事はこちら⇒【2021年最新版】オール電化VSガス併用どちらを選ぶべき?2つを徹底比較!
火を使わないから安全
オール電化に切り替えると家の中で火を使う機会が大幅に少なくなります。コンロや給湯器からも火は出ませんので、火事になる危険性はぐんと下がります。
白内障の症状が進むとガスの青い炎が見えづらくなると言われています。気付かないうちに、コンロの火が袖などに引火してやけどをしたり、ボヤ騒ぎになったりすることがあります。
また、火を使わないということは空気が汚れないということでもあります。ガス漏れや不完全燃焼を起こすこともないので、一酸化炭素中毒などのガス中毒になる危険性もありません。
お家の安全性が高まるというのもオール電化が選ばれている大きな理由の1つですね。
災害時にタンクの水を使える
大規模な地震などで、万が一断水してしまってもエコキュートがあれば安心です。エコキュートの貯湯タンクの中には、常時数百リットルもの水やお湯が蓄えられています。タンク下部に付いている水抜き栓から、いつでも取り出して使うことが出来ますので、急な災害への備えとしても機能してくれます。
断水しても水やお湯がしばらくの間使えるというのは安心ですよね!
ガス代が不要
オール電化に切り替えると、ガス代は基本料金から支払わなくて良くなります。支払いを電気に一本化できるので、管理しやすいということで好評です。
新築でオール電化を選択すれば敷地内へのガス管の引き込み費用なども必要ないので、そこにかかる費用を抑えることも出来ます。
キッチンの手入れをしやすい
台所のIHクッキングヒーターは、表面も平らなガラスで出来ていますので、お手入れも簡単です。もし、汚れてしまったとしても洗剤を付けた布巾で、天板をサッと一拭きすればいつまでもきれいな状態を保つことが出来ます。
ガスコンロの五徳のように細かいところにこびりついた油汚れが落ちなくて大変!という思いをすることもありません。
災害時の復旧がはやめ
電気やガスが止まってしまうほどの大きな災害が起こってしまった場合、ガスよりも電気の方が復旧が早いというデータがあります。
これほどの規模の災害となると、数十年に1度のレベルのものになるかと思いますので、あまり気にしなくても良いかもしれませんね。
都市ガスを利用している場合と違って、オール電化の場合は太陽光発電や蓄電池、V2Hなどを利用することで電気の自給自足を出来るという点も見逃せません。
都市ガスはどうしても自給自足することは出来ませんからね。
オール電化のデメリット
続いてオール電化住宅のデメリットについて見ていきましょう。メリットとデメリットを比較して、デメリットの方が大きく感じるのであれば、導入を取りやめた方が良いでしょう!
昼の電気代が高め
各電力会社が提供しているオール電化住宅向けの電力プランは、夜23時以降の電気代が安くなるように設定されています。一方で10時~17時までの時間帯の電気代は割高になるように料金設定されています。電気を使う時間帯によっては、切り替える前よりもかえって電気代が高くなってしまう可能性もあります。
昼間中心の生活スタイルであったり、ペットを飼っていて一日中エアコンを付けっ放しにしているといった場合には経済的なメリットが出づらくなっている場合もございますのでご注意ください。
初期コストが高め
オール電化に必要なIHクッキングヒーターやエコキュートなどの設備は、本体費用が高額なので、初期費用がかかります。
オール電化を新規で導入する場合、基本となるIHクッキングヒーターとエコキュートのセットで50万円~80万円ほどの費用がかかります。
単純にガスコンロと給湯器を新しい物に更新するだけなら、20~40万円もあれば十分な設備が整えられるでしょう。
初期費用が高いということは、今後かかってくる機器の更新費用も高くなるということです。
エコキュートやIHクッキングヒーターの寿命は10年~15年程度と言われています。その度に、同じくらいの費用がかかってしまうということも頭に入れておきましょう。
オール電化の導入費用や機器の選び方に関する詳しい記事はこちら⇒オール電化にリフォームする費用はどれくらい?事前に確認するべきポイント
火が使えない
これはメリットでもあるのですが、調理のときに火が使えないというのはデメリットでもあります。IHクッキングヒーターは調理器具が加熱面にしっかりと触れていないと調理が出来ないので、調理中にフライパンや鍋を傾けたりすることは出来ません。調理方法に関しては好みの部分も大きいので、「料理はやっぱりガスでないと!」というご家庭様では不満に思うことも多いでしょう。導入前にしっかりと相談しておいてください。
IHクッキングヒーターとガスコンロ、それぞれのメリット・デメリットをまとめた特集記事はこちら⇒徹底比較!IHとガスコンロどちらがおすすめなのかを公開!
停電時は全ての機能が停止する
オール電化住宅はその名の通り、お家の中のエネルギー源をすべて電気で賄っていますので、停電するとお家の中の全ての機器が使えなくなってしまいます。
ガスコンロに関しては、電池式の物も多いので停電時にも使うことが出来ますが、IHクッキングヒーターは全く動かないのでどうしようもないですね。
オール電化住宅では、停電したときのためにガスのカセットコンロを用意しておくことをおススメします。そうすれば、万が一の停電時にもお湯を沸かしたりすることが出来ますので安心です。
停電時の備えとしてだけでなく、普段の電気代の削減にもなるということで、オール電化と一緒に太陽光発電や蓄電池を導入するご家庭も増えています。
オール電化住宅の停電対策に関しての詳しい記事はこちら⇒オール電化なのに停電してしまった!慌てないために事前に対策をしておこう
エコキュートの音が気になる
エコキュートのヒートポンプから発生する音や低周波音が原因での騒音トラブルというのも報告されています。
エコキュートの動作音はエアコンの室外機と同じ程度で約50デシベルと言われています。日常生活の中であまり気になることはないくらいの大きさの音ですが、エコキュートは深夜電力を使ってお湯を沸かす設計になっているので、多くの人が休息をとっている夜間の時間帯にフル稼働しています。
そのため、ヒートポンプの設置場所が寝室に近かったり、隣家の寝室の正面を向いて設置されていたりする場合にはトラブルになりやすいので、事前に注意しておきましょう。
エコキュートの騒音トラブルに関する詳しい記事はこちら⇒エコキュートの騒音って気になるレベル?近所トラブルにならないために
オール電化の導入が向いているのはこんな人
オール電化のメリット・デメリットの両方についてお伝えしていきました。総合的に考えてどういう方がオール電化に向いているといえるのでしょうか?オール電化を導入してお得になるご家庭の特徴を見ていきましょう。
お家の安全性を重視したい
オール電化に切り替えると、お家の中から火の気がなくなりますので、火事になる可能性が大幅に下がります。高齢の方や、小さなお子様と一緒にお住まいになられていて、留守の間にも何かあったら心配だという方にはオール電化がおススメです。
平日昼間にほとんど家にいない
元々の昼間の電気使用量が少なければ、オール電化に切り替えることで電気代を大幅に安く抑えることが出来ます。そのため、昼間に学校や会社に行っていて、家ではほとんど電気を使わないという場合には、オール電化に切り替えれば光熱費を安く抑えられる可能性が高いです。
光熱費を節約したい
オール電化に切り替えることで、光熱費の請求は電気に一本化されます。ガスと電気を併用しているとそれぞれが高くなったり安くなったりするので、節約効果がわかりにくいことがあります。
オール電化にすれば、電気代だけを管理すればよいので、電気の使いすぎだけでなく上手に節約できたかなどがすぐにわかります。
光熱費の節約の意識が高い方にはオール電化への切り替えもおススメです。
オール電化のデメリットは太陽光発電や蓄電池で補える
オール電化のデメリットである「昼間の電気代の高さ」や「停電時の不便さ」といった問題は太陽光発電や蓄電池を合わせて設置することで、大幅に改善されます。
日中、太陽光パネルが発電した電気をご自宅で使えば電力会社から高い電気を買わなくて済みますし、蓄電池があれば、深夜電力や太陽光パネルが発電した電気を貯めて使うことが出来るようになります。
条件によっては電力会社から買う電気をほとんどゼロにすることも出来、エネルギーの自給自足まで出来るようになります。
もちろん、太陽光発電や蓄電池は何よりも心強い停電対策にもなります。
どちらも導入するのに大きな費用はかかりますが、オール電化との相性も良いので、合わせて設置することのメリットも大きいです。
オール電化で電気代を節約すれば快適な暮らしが実現できる
せっかくオール電化を導入するなら、そのメリットの部分を最大限引き出してつかいたいですよね。オール電化住宅で電気代をさらに安く利用するための電気の使い方やちょっとした工夫をお伝えしていきます。
夜間に電気を使うようにする
オール電化住宅は昼に電気が高く、夜に電気が安い料金体系になっています。同じように生活していても、電気を使う時間帯によって料金が大きく異なります。
昼の電気が一番高い時間帯を避けるようにすれば、電気代を節約することが出来ます。
洗濯機や炊飯器、アイロンなどの消費電力の大きい電化製品は時間をずらして使ったり、タイマー機能を活用したりするなど工夫して使うようにしてみましょう。
電気代が安い時間帯を把握しておく
オール電化を導入すると光熱費の高い時間帯と安い時間帯がはっきりと分かれます。
そのため、どの時間帯に家電を使えば良いのかを把握しておくことで、より効率的に電化製品を使用することが出来るようになります。
家族内でも共有して、全員で意識することで大きな節約効果が期待できるでしょう。
エコキュートの設定を季節によって変更する
お家の中で消費するエネルギーの中でも高い割合を占めているのが給湯設備です。これは、ガスにしても電気にしても共通していて、お家の光熱費の約3分の1は給湯に使われていると言われています。
オール電化で使用されているエコキュートは貯湯式の給湯器になっていて、夜の間に安い電気を使って一日分のお湯をためておき、そのお湯を使うようになっています。
途中でお湯が足りなくなってしまうと、深夜以外の電気を使ってお湯を沸かすことになってしまうので、電気代が高くなってしまいます。
一日を通してお湯がずっと使えるように、深夜の沸き上げの量を多くしたり、タンクの容量を大きい物を選んでおくなどして途中でお湯切れしてしまわないように注意しましょう。
オール電化とはのまとめ
今回はオール電化とはいったいどういう物なのか。オール電化に切り替えた場合のメリットやデメリットについてお伝えしていきました。
「オール電化にすれば光熱費がお得!」というイメージがあると思いますが、ご家庭の電気のご利用状況や生活スタイルによっては一概にそうとも限らない状況になっています。
実際に、深夜電力の割引が大きかったときには、かなり多くのご家庭で光熱費のメリットがあるような状況でした。しかし、原子力発電所が稼働停止している現在では、プロパンガスの地域ではオール電化の方が有利、都市ガスの場合は高額な初期費用も考慮するとトータルコストではトントンくらいだろうというのが一般的です。
切り替えてから後悔しても遅いので、オール電化の特徴や使い方についての注意点をしっかりと理解したうえで検討してもらいたいと思います。
もちろん、オール電化には光熱費の節約以外にも多くのメリットがございます。火を使わない安全性や、災害への強さ、太陽光発電との相性の良さなどはオール電化ならではのものです。
大切なのは、オール電化の良い面ばかりを聞いて鵜呑みにせずに、メリットとデメリットの両方を総合的に判断して決めることです。
オール電化の導入を検討中の方はぜひ一度エコの王様までご相談下さい。
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