
エコキュートとは?仕組みと給湯器の違いやメリットデメリットを解説!
2022/06/24
こんにちは!エコの大臣です!
ご家庭の消費エネルギーの約3分の1を占めると言われる給湯。お家のお湯をつくる給湯器も省エネ化が進んでいます。
ただ、この業界の人は、環境にやさしいことをアピールした過ぎて、新商品に何でも「エコ」って付けたがるところがあり、名前が非常にややこしい。
給湯器業界では「エコ○○」という名前の商品多すぎ問題が起こっています。
そんな皆様の疑問にお答えするべく、今回はエコ給湯器のうち、電気でお湯を沸かす給湯器である「エコキュート」の仕組みや特徴について解説していきます!
目次
エコキュートとは?
まずは、エコキュートがどういう給湯器なのか?というところを説明していきましょう。
エコキュートは、お湯を沸かすのにガスや灯油を燃やした熱を使わずに、電気の力でお湯を沸かす給湯器です。
2001年にコロナ社から世界で初めて発売されました。化石燃料を燃やさずに電気の力でお湯を沸かすので、湯沸かしの際に二酸化炭素などの温室効果ガスが出ません。その分だけ環境にもやさしく、深夜電力を活用することで給湯コストを抑えられるということで、地方のプロパンガスを利用している一戸建てを中心に導入が伸びていきました。
近年では都心部の新築住宅にもオール電化の導入率が高くなっています。国としても導入を進めている一戸建て住宅のエネルギー収支をプラスマイナスゼロ以上にするZEH「ネット・ゼロ・エネルギーハウス」。その設置基準を満たせる高効率な給湯器ということで、多くのハウスメーカーからも選ばれています。
2001年に発売されてから毎年のように販売台数を伸ばしていっています。東日本大震災のあった2011年以降、停電など電力供給体制への不安から普及率が一時的に落ちたこともありましたが、その後復調しています。
現在では年間で約50万台のエコキュートが販売されています。最近は新規導入だけでなく、寿命を迎えたエコキュートの交換も盛んにおこなわれており、まだまだ拡大傾向にあります。
エコキュートの仕組みについて
エコキュートは正式名称を「家庭用自然冷媒ヒートポンプ式給湯器」と言います。
上の写真の機械がヒートポンプと呼ばれる熱源機になります。
今までの電気給湯器はタンクの内部に取り付けられた電熱線のヒーターを利用してお湯を沸かしていましたが、エコキュートはこのヒートポンプという機械を利用して沸き上げをします。
ヒートポンプというのは、空気中にもともとある熱エネルギーを取り込み、その熱エネルギーを圧縮することでお湯を沸かせるほどの高温を生み出します。
熱エネルギーをゼロから生み出すとなると大きなエネルギーが必要になりますが、もともと存在する熱エネルギーを集めるだけなら少ないエネルギーで済みます。そのため、お湯を沸かすのに必要なエネルギーも少なくなるので、結果として電気代の節約につながります。
そうして集めた熱を利用して沸かしたお湯は、断熱性の高い専用のタンクに貯められ、必要に応じて中のお湯を取り出して使うという仕組みになっています。
エコキュートとは他の給湯器とどう違うの?
そんな高性能給湯器であるエコキュートは、他の給湯器と比べてどのような点が違うのでしょうか?エコキュートと今までの電気温水器やガス給湯器との違いについて比較してみましょう。
エコキュートと電気温水器の違い
エコキュートと今までの電気温水器。何が一番違うのかというと、毎月の電気代です。
エコキュートはヒートポンプを熱源に採用しているので、同じ熱エネルギーを生み出すのに、従来の電気温水器の約3分の1の消費電力で済むようになっています。だから、毎月の電気代も約3分の1で済むようになっています。
その代わりに、ヒートポンプをタンクの周辺に設置しないといけません。エアコンの室外機ほどの大きさの機械になるので、スペースが狭い場合は設置が出来ません。特に、マンションの場合は設置スペースが確保できずに設置不可となることが多いです。
エコキュート | 商品 | 電気温水器 |
電気 | エネルギー源 | 電気 |
ヒートポンプ式 | 熱源 | 電熱線ヒーター式 |
高い | 本体費用 | 安い |
安い | ランニングコスト | 高い |
・タンク本体と別にヒートポンプを設置する必要がある ・ヒートポンプから出る騒音が問題になる可能性がある | その他 | ・トータルコストはエコキュートよりも高くなる |
エコキュートとガス給湯器との違い
エコキュートは電気の給湯器、ガス給湯器はガスを燃焼させてお湯を沸かす給湯器なので、そもそもの仕組みが全く違います。
二つの違いを表にしましたので、見ていきましょう。
エコキュート | 商品 | ガス給湯器 |
電気 | 熱源 | ガス |
貯湯式 | 出湯方法 | 水道直圧式 |
大きい | 給湯器の大きさ | スペースに合わせて選択可能 |
高い | 初期費用 | 安い |
安い | ランニングコスト | 高い |
約10~15年 | 耐用年数 | 約7~10年 |
限りがある | 使えるお湯の量 | 無制限 |
エコキュートとガス給湯器で大きく違っているところは、「給湯器の大きさ」、「初期費用」の2点です。
エコキュートは沸かしたお湯を貯めておくために縦横約80cm、2m近い高さの「貯湯タンク」と、エアコンの室外機と同じ大きさの「ヒートポンプユニット」を設置するためのスペースが必要になります。敷地の狭い住宅街などでは設置が出来ないことも多いのがデメリットです。ガス給湯器の場合は据置型や壁掛け型など、お家の状況に合わせて適切な物を選ぶことが出来るので、「給湯器の設置ができない」ということがありません。
2つ目の費用に関しては、エコキュートの設置費用が40~60万円程度かかるのに対し、ガス給湯器の場合は20~40万円程度で設置することが可能です。
ランニングコストはエコキュートの方が安くなることが多いので、トータルコストで比較するとエコキュートの方が安くなることも多いです。ただ、ご自宅の電気やガスの使用状況によっても変わりますので、100%全ての家庭で光熱費が安くなるわけではないのでご注意ください。
エコキュートのメリット
年間で約50万台も販売されているエコキュート。売れているからには売れている理由が何かあるはずですよね?そこで、まずはエコキュートのメリットを改めて整理していきます。強調されがちなので、どこかで目にしたこともあるかと思います。
深夜電力により光熱費が削減できる
エコキュートが広く採用されるようになった一番大きな理由は、その省エネ性能の高さです。深夜の安い電気を使ってお湯を沸かすことで、給湯にかかるコストを大幅に削減できるようになりました。エコキュートに切り替えると、従来型の電気温水器と比べると約3分の1の電気代になります。また、電気給湯器との比較だけでなく、ガス給湯器と比べてもエコキュートのランニングコストは安くなると言われています。
特に、使用料金が高くなりがちなプロパンガスを使用している地域で爆発的に人気が出て広まっていきました。北陸や中国・四国地方などでは新築のエコキュート採用率が80%を超えている地域もあるほどです!
断水時に活躍する
エコキュートは沸きあげた後のお湯を貯めておくためのタンクがあります。タンクの中には常に数百リットルの水が蓄えられています。そのため、災害などで断水になったときにでもタンクの中のお湯を取り出して生活用水として使用することが出来ます。
ガス給湯器などは、お湯を使う度に瞬時にお湯を沸かして使いますので、断水時はもちろん、停電時にもお湯を使うことは出来ません。これは、貯湯式のエコキュートだからこそのメリットの1つとなっています。
火を使わないので安全
エコキュートはお湯を沸かすときに物を燃やすことがないので、火事に対する安全性が高くなります。
火事以外にも、ガス漏れや灯油タンクから灯油が漏れたりする心配もありません。
台所のIHクッキングヒーターも合わせて設置すれば、火事に対してはより安全性が高まります。
エコキュートの火事に対する安全性に関する詳しい記事はこちら⇒オール電化はガスを使わないから火事にならないって本当?その真実に迫る!
豊富なメーカーと種類
他の種類の給湯器と違い、エコキュートを製造しているメーカーは数多くあります。製造メーカーはパナソニックや三菱、ダイキンなど国内でも大手の電機メーカーですので、安心してお選びいただくことが可能です。
メーカー毎に様々な商品のラインナップや、特徴なども異なりますので、購入、買い替えをする際に選ぶ楽しみも味わって頂けます。
機能で選ぶも良し、価格で選ぶも良し。ご自宅の状況にあった商品をお選びください。
エコキュートのメーカー毎の特徴やおススメ商品に関する詳しい記事はこちら⇒【2022年完全版】エコキュートのおすすめメーカーを性能・機能別で徹底調査! |
地球環境にやさしい
エコキュートはヒートポンプと呼ばれる技術を利用しています。ヒートポンプは空気の熱を利用してお湯を沸かす仕組みになっていて、お湯を沸かすときに石油やガスなどの化石燃料を燃やさないので、二酸化炭素などの温室効果ガスを発生させません。また、省エネ性能も高く、消費電力も低く抑えられるようになっています。
エコキュートのデメリット
どんな商品にもメリットがあれば当然デメリットもあります。エコキュートのデメリットの部分についてもきちんと解説しておきたいと思います。
初期費用が高い
エコキュートはランニングコストは安く抑えて使うことが出来るのですが、初期費用がその分高くなってしまうのがデメリットです。
エコキュートの導入費用としては40~60万円程度が相場とされています。
電気温水器の場合は、それよりも10万円程度安い30~45万円程度、ガス給湯器の場合は20万円程度あれば、新品に交換することが出来ます。
「いつまで住むかわからない。」、「1人暮らしだし、もともとお湯をあまり使わない」という場合には、いくらエコキュートのランニングコストが安いと言ってもそれだけでは元が取れない場合があります。
自宅のお湯の使用状況や、今後の生活スタイルなども考慮して導入を検討しましょう。
湯切れの可能性あり
エコキュートはタンクの中にお湯をためるタイプの給湯器になっています。あらかじめタンクの中にたまっているお湯をすべて使い切ってしまうと「お湯切れ」の状態になってしまいます。お湯切れしてしまうと、お湯が沸くまでのしばらくの間、お湯を使えなくなります。
ガス給湯器などと違い、お湯を沸かすのに時間がかかってしまう(シャワー1回分のお湯を沸かすのに約30分程度か)ので、お湯の残量に気を付けながらお湯を使う必要があります。
一日に2回、3回と湯船にお湯を張り直したり、家族の人数が多くてもともとお湯の使用量が多いというご家庭に関してはお湯が足りなくなる可能性があるということは覚えておいて下さい。
エコキュートのお湯切れに関する詳しい記事はこちら⇒エコキュートはお湯切れするって本当?お湯切れしないための方法 |
低周波音の問題がある
エコキュートのヒートポンプユニットから出る低周波音が、健康トラブルの原因になることがあります。
低周波音は、通常人間の耳では聞き取りにくいレベルの低い音のことです。冷蔵庫のモーター音や、トラックのエンジン音などの「ブーン」という低い音が低周波音に該当します。
長時間、人体が低周波音にさらされ続けると不快感や圧迫感などの症状が表れ、心身にも悪影響を及ぼします。症状がひどくなると、めまいや頭痛で立っていることも難しくなってしまったという事例も報告されています。
低周波音は塀や壁などで防音対策をすることが難しいので、根本的な対策をする場合には発生元となるエコキュートの撤去や移設などが最も効果的な対策となっています。
症状の出る出ないには個人差がありますが、電磁波などに敏感な方は設置を控えた方が良いかもしれませんね。
エコキュートの騒音トラブルに関する詳しい記事はこちら⇒エコキュートの騒音って気になるレベル?近所トラブルにならないために
絶対に電気代が下がるわけではない
エコキュートを設置するときには、深夜電力が安くなる電気の契約に変更するのが一般的です。
こちらの料金プランは23時から翌朝の7時までの時間帯は割安な料金単価に設定されているのですが、平日昼間の10時~17時までの時間帯の電気代は割高な料金単価に設定されています。
そのため、昼間に電気を多く電気を使う生活スタイルなどでは、エコキュートを導入する前よりも光熱費が高くなってしまうご家庭様もございます。
事前に電気代のシミュレーションをすることも出来ますので、自分の家は電気代が安くなる家庭なのかどうかは事前に確認をしておきましょう。
飲用が難しい
エコキュートは一度沸かしたお湯をタンク内に貯めておく仕様のため、飲用には適していません。飲んでしまったからといって直ちに体調が悪くなるということはありませんが、タンク内のお湯は一度沸かしているのでカルキが抜けてしまっています。積極的に飲用に使うのはあまりおススメ出来ません。
エコキュートから出たお湯はそのまま飲むのではなく、一度煮沸してから飲むようにしましょう。
エコキュートの欠点はすべて解決できる?
エコキュートにも数々のデメリットがあることはご理解いただけたでしょうか。出来ることなら、デメリットを抑えて、メリットだけを引き出して使いたいですよね。
そこで、ここではエコキュートのデメリットを小さくする使い方についてご紹介していきます。
費用は助成金があれば補填できる
初期費用が高いのはエコキュートの大きなデメリットです。費用を抑えるための方法の1つに助成金を利用する方法があります。
都道府県や市町村単位でエコキュートの導入や買い替えに助成金を出しているところもあります。
また、時期によっては各地方の電力会社がキャンペーンをしていて、現金や商品券のプレゼントを行なっていることも。
普通に購入するよりもオトクに購入することが出来るので、ぜひとも活用してみて下さい。
大きめのタンクにしてお湯切れを防ぐ
エコキュートはタンクの中にたまっているお湯を使い切ってしまうと、しばらくの間お湯が使えなくなってしまうのが大きなデメリットです。
お湯切れを防ぐためには、大きめのタンクを選んで購入することが効果的です。適正と言われているサイズよりも1つ大きいタンクを選んでおけば、安心でしょう。
また、途中で湯切れして沸き増しすることなく深夜の沸き増しだけで使用することが出来れば、電気代の節約にもつながります。
タンク選びに悩んだ場合は、大きめのタンクにすることをおススメします。
設置場所を考え周波数や騒音を回避
エコキュートから出る運転音や低周波音が原因となる騒音トラブルに関しては、設置場所が重要なカギを握ります。
エコキュートの運転音が一番問題になりやすいのは、寝室の付近に設置することです。自宅だけでなく、隣家にも配慮して設置場所を決めましょう。
また、エコキュートの設置場所の近くに物を置いたり、周辺を小屋などで囲ってしまったりすると音が反響して増幅し、被害が大きくなることもあります。
設置してしまったエコキュートを移設したり、撤去するのは費用もかかりますので、事前によく検討して設置するのが望ましいですね
電気料金の見直しで光熱費の削減
エコキュートを購入する場合には、電気の契約プランの変更も合わせて行ないましょう。ガスからの切り替えの場合は従量電灯の契約プランから、時間帯別の電力契約のプランに変更をするのが一般的です。
オール電化・エコキュート向けの電力プランを販売している電力会社も各地域に数社ありますので、いくつか比較して一番良いと思う電力会社を選ぶようにしましょう。
オール電化の料金プランに関する詳しい記事はこちら⇒【2022年関西版】オール電化のおすすめ電力会社とプランを詳しく解説
エコキュートの設置費用を知っておこう!
「エコキュートの良いところはわかったけど、結局いくらかかるの?」っていうのが気になりますよね。いくら電気代が安くなったとしても、機械がむちゃくちゃ高かったら意味がないですもんね。
エコキュートを設置するために必要な費用は、「エコキュート本体の購入費用」と「専用の取り付け工事費用」の合算になります。
現在の価格相場はいったいいくらくらいなのでしょうか?
エコキュートの本体価格
エコキュートはメーカーのカタログに記載されている希望小売価格は100万円前後とかなり高い金額が書かれています。こんな金額払えないよ!と思う方も多いと思いますが、エコキュート以外の給湯器は、実際に購入する際には、もっと割引のきいた金額で購入することが出来ます。もちろん販売店やメーカー、時期によっても割引率は変わります。
インターネットの販売店では60%~80%の割引率で販売されており、本体費用の相場としては20万~50万円程度で購入することが出来ます。
エコキュートの本体価格や商品の選び方に関する詳しい記事はこちら⇒エコキュートの価格はどれくらい?メリットやデメリット・選びかたを完全網羅!
エコキュートの取付工事費用
エコキュートには、専用の取付工事が必要になります。エアコンなどもそうですよね。
エコキュートの取り付けにあたっては、電気工事士などの専門の資格が必要になりますので、無資格の方がご自身で取付工事をすることは出来ません。実際、エコキュートはタンクもかなり大きい物になりますので、やはり専門の技術者に依頼するのが良いでしょう。
エコキュートの取付工事の主な内容としては、
・エコキュートを設置するためのコンクリートの基礎工事
・設置した基礎へのエコキュートの据付工事
・エコキュートに必要となる電気配線工事
・エコキュートとご自宅をつなぐ水道配管工事
などを行ないます。
エコキュートの基本工事の費用相場としては15~20万円となっています。
設置環境によっては、ブレーカー交換などの追加工事費用が必要になります。工事を依頼する前に事前に追加工事の有無などは確認をしておきましょう。
エコの王様の基本工事費用の内訳に関してはこちらのページをご参照ください⇒エコキュート交換費用例
エコキュートの工事費用に関する詳しい記事はこちら⇒オール電化の工事費は平均いくら?各シーンの費用や安くするためのポイント
エコキュートとはのまとめ
今回は高効率の電気給湯器「エコキュート」が一体どういう物なのか、エコキュートのメリットやデメリットなどについて詳しくお伝えしていきました。
エコキュートはエアコンなどにも使用されているヒートポンプ式を採用しているため、今までの電気温水器と比べてもかなり省エネ効率が良くなっています。
エコキュートには数多くのメリットもありますので、そこをうまく引き出せるように上手に活用すれば光熱費の削減や災害対策などかかった費用に見合った貢献をしてくれます。
逆にデメリットの部分を知らずに購入してしまうと、思わぬところで後悔する結果になることも…。
エコキュートのことをよく知ってから購入することをおススメします!
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