蓄電池に耐用年数ってあるの?その詳しい内容をプロが徹底解説!
2021/10/22
「蓄電池って耐用年数はあるの?」、「蓄電池の耐用年数ってどれくらい?」、「サイクル数って何?」など蓄電池の寿命についてのお問い合わせを連日頂いています。
蓄電池が本格的に販売されてから10年も経っていないので、耐用年数に関する情報が少ないので分からないことがあっても当然だと思います。
そこで今回は、蓄電池の耐用年数について詳しくご説明します。
目次
そもそも耐用年数って何?寿命とは違うの?
蓄電池には、耐用年数と寿命という言葉があります。
蓄電池の耐用年数とは、蓄電池を使用し続けて価値が無くなるまでの年数を表します。
簡単に言えば、蓄電池の寿命と言っても良いでしょう。
蓄電池の耐用年数は、容量・蓄電池の種類・使用環境・条件によっても変わるのが特徴です。
蓄電池の法定耐用年数は6年とされていますが、これはあくまでも税法上であって実際の耐用年数とは大きく違います。
現在最も多く販売されているリチウムイオン蓄電池の耐用年数は、蓄電容量や設置場所などによって多少の違いはありますが、約15~20年と言われています。
蓄電池の耐用年数について
蓄電池の耐用年数は、蓄電容量や設置状況・条件によって多少の違いはありますが約15~20年と言われています。
ですが、蓄電池の耐用年数や寿命を表している数字は、サイクル数と使用期間で表示されていることが多いです。
サイクル数と使用期間について詳しくご説明します。
サイクル数
蓄電池のサイクル数とは、充電が0の状態から100%になり使い切るまでのことを言います。
蓄電池のサイクル数は、メーカーや蓄電池の種類によって変わります。
日本で販売されている蓄電池のサイクル数は次の通りです。
・鉛蓄電池⇒約3,150サイクル
・ニッケル水素蓄電池⇒約2,000サイクル
・リチウムイオン蓄電池⇒約3,000~12,000サイクル
・NAS電池⇒4,500サイクル
日本で最も販売されているリチウムイオン蓄電池は、設計の段階から何千回も充放電出来るように設計されていますので高寿命です。
また、リチウムイオン蓄電池の耐用年数は、パワーコンディショナーの種別によって変わります。
蓄電池のパワーコンディショナーによるサイクル数の違いについてご説明します。
単機能型
単機能型蓄電池とは、太陽光発電システムを設置して10年未満のご家庭や、太陽光発電システムを設置していない方におすすめです。
太陽光発電システムを設置して10年未満のご自宅では、売電価格が高い状態で推移しているので蓄電池に貯めるよりも、売電する方が経済的にメリットが出やすいためです。
そういったことから単機能型の蓄電池は、設計の段階から1日1サイクル、主な充電先を深夜電力としているのでサイクル数も短く、メーカーによって多少の違いはありますが約6,000サイクルです。
ハイブリッド型
ハイブリッド型蓄電池とは、太陽光発電システム用のパワーコンディショナーと蓄電池用のパワーコンディショナーが、一体になった蓄電池のことを言います。
ハイブリッド型蓄電池は、太陽光発電システムと蓄電池を一緒に設置される方や、太陽光発電システムを設置して10年以上が経過している方におすすめの蓄電池です。
おすすめの理由は、パワーコンディショナーを新しく出来るためです。
太陽光発電システムのパワーコンディショナーの寿命が約10~15年と言われています。
パワーコンディショナーの交換時期にハイブリッド型蓄電池を導入することによって、古いパワーコンディショナーを新しいパワーコンディショナーに交換できます。
また、太陽光発電システムを設置してから10年が経過すると、高額な売電価格で買い取ってくれる固定価格買取(FIT)制度が終了します。
FIT制度が終了すると売電価格が7~9円にまで下がります。
FIT制度が終了したご自宅では、安い電気をそのまま売り続けるか蓄電池に電気を貯めて自家消費するかを選ぶ必要があります。
売電価格よりも電力会社から買う電気の方が高くなるので、多くのご自宅では蓄電池に電気を貯めて自家消費する動きが高まったため、現在ではハイブリッド型蓄電池の方が多く販売されています。
ハイブリッド型蓄電池は、設計の段階から1日2サイクルで設計されています。また、主な充電先を太陽光発電システムと電気代の安い深夜電力としています。
サイクル数は単機能型よりも多く、耐用年数は約8,000~12,000サイクルです。
使用期間
蓄電池の使用期間は、サイクル数を基に考えると良いでしょう。
もちろんメーカーによっては、サイクル数ではなく期待寿命して年数を書いてあるところもあります。
サイクル数を365日で割れば使用期間が分かります。
例えば、サイクル数が多い田淵電機のアイビス7(ハイブリッド型)のサイクル数は、12,000サイクルです。
12,000÷365=約33年が使用期間です。
これが1日2サイクルで蓄電池が稼働した場合の使用期間は、約17年です。
このように計算すれば使用期間を計算することが出来ます。
蓄電池の種類に関する詳しい記事はこちら⇒蓄電池は種類がたくさんあるって本当?それぞれの特徴について解説!
ハイブリッド型と単機能型の違いに関する詳しい記事はこちら⇒【2021年最新版】蓄電池とは?仕組みや種類メリットデメリットを徹底解説!
蓄電池の耐用年数が過ぎてしまうと起こりえること
蓄電池の耐用年数が過ぎてしまうとどのようなことが起きるのでしょうか?
答えは、蓄電容量の減少です。
蓄電池の蓄電容量は、定格容量と初期実効容量の2つがあります。
定格容量とは、蓄電池全体の蓄電容量を指します。
初期実効容量とは、蓄電池が実際に使える蓄電容量のことを指します。
蓄電池の耐用年数が来て蓄電容量が減少するのは、定格容量ではなく初期実効容量の方です。
先日、ある蓄電池メーカーの方に蓄電容量の減少についてお話をお伺いしました。
メーカーの方からは、「耐用年数が過ぎると初期実効容量は、約20~30%低下します。」とのお話を頂きました。
分かりやすくお伝えすると、エコの王様でも人気のニチコン蓄電池ESS-U2M1の蓄電容量は、11.1kWhで、初期実効容量は9.4kWhです。
9.4KWhが耐用年数を超えると初期実効容量は、約6.6kWhまで減少するということです。
初期実効容量に関する詳しい記事はこちら⇒蓄電池の容量はどれくらいが適切?失敗しない蓄電池の選びかた
蓄電池の耐用年数が過ぎるとすぐに交換するべき?
蓄電池は耐用年数を経過すると、初期実効容量が減少します。
ですが、蓄電池本体が故障して使えなくなる訳ではないので、蓄電池の耐用年数が来たからと言って新しく交換する必要は無いです。
蓄電池を少しでも長持ちさせる方法
蓄電池は、購入すると100万円以上するものばかりです。
どんな電化製品も少しでも長く使いたいですよね。
蓄電池を少しでも長く使うための方法についてご紹介します。
適切な充電をする
家庭用蓄電池で最も多く販売されているリチウムイオン蓄電池は、数千回の充放電に耐えられるように設計されています。
そのため、スマートフォンやノートパソコンのバッテリーに使われています。
蓄電池における適切な充電とは、充電0の状態からフル充電にすることを繰り返さないことです。
充電0から満充電にすることを繰り返すことによって、リチウムイオン電池に大きなダメージを与えるため蓄電池を充電するときは、蓄電モニターを見ながら適度に充電すると良いでしょう。
高温な場所で使わない
リチウムイオン電池は、高温に弱いという特徴があります。
気温が25℃以上になると、リチウムイオン電池が大きなダメージを受けます。
蓄電池は屋内設置と屋外設置の2種類があります。
屋内設置する場合は、気温をそこまで気にすることはありませんが、屋外設置する場合は気温が上昇することがあるので設置場所を考える必要があります。
屋外設置する場合のポイントは次の通りです。
・直射日光が当たらない場所
・1日を通して影になる時間が多い場所
・家の北側に設置する
・風が通りが良い場所
過多充電や放電は避ける
スマートフォンやパソコンなどのバッテリーに使われているリチウムイオン電池は、充放電繰り返すことによってバッテリーの劣化を早めます。
これは、蓄電池内部でも同じことが起きます。
蓄電池が満充電の状態で充電を続けることや充電が0に近い状態で放電を続けると、リチウムイオン電池が大きなダメージを受けるので耐用年数を縮めます。
小まめに充放電することを心掛けると良いでしょう。
蓄電池の耐用年数のまとめ
みなさんいかがだったでしょうか?
今回のお話をまとめると、
・蓄電池の耐用年数と寿命は同じ意味!
・蓄電池の耐用年数は、サイクル数と使用期間で表されている!
サイクル数は、蓄電池のパワーコンディショナーによって違います。単機能型は3,000~6,000サイクル、ハイブリッド型は6,000~12,000サイクルです。
使用期間にすると約10~20年です。
・蓄電池の寿命を長持ちさせる方法は全部で3つ!
適切な充電をすること
高温になる場所に設置しない
過充電・過放電しない
蓄電池は、耐用年数が来たとしても蓄電容量が減るだけですので、本体が故障して使えなくなる訳では無いのですぐに、新しい蓄電池に交換する必要はありません。
蓄電池の耐用年数や各蓄電池メーカーに関する情報は、自分で調べるよりも販売店に問い合わせて聞くのが一番です。
エコの王様にも蓄電池に詳しいスタッフが数多くおりますので、蓄電池のことで分からないことがあれば是非1度お問い合わせ下さい。
各ご家庭に合った蓄電池をご提案させて頂きます。
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