蓄電池の寿命は何年?種類別と長持ちさせる方法を解説!
2023/09/10
「蓄電池って寿命があるって聞いたけど本当?」、「蓄電池の寿命は何年ですか?」、「高い買い物をしたし長く蓄電池を使う方法はありませんか?」など、家庭用蓄電池の寿命に関する問い合わせが非常に増えています。
家庭用蓄電池は、停電対策や電気代節約に役立つことから設置件数が増えています。
使い方や設置方法を間違えてしまうと、寿命を縮めてしまう可能性があります。
そこで今回は、家庭用蓄電池の寿命と寿命を伸ばす方法に詳しく説明します。
目次
蓄電池の全体の寿命は何年?
2023(令和5)年現在、家庭用蓄電池の寿命は、メーカーや電池の種類によって異なり、一般的には 10 年~ 15 年と言われています。
しかし、家庭用蓄電池が本格的に販売され始めてからまだ 10 年も経過しておらず、その実際の寿命はまだ正確には分かっていません。
蓄電池の寿命は何で表すの?
家庭用蓄電池の寿命を表す単位として、「サイクル数」と「使用期間」で表されているケースがほとんどです。
サイクル数と使用期間について詳しく説明します。
サイクル数
サイクル数は、別名「寿命サイクル数」とも呼ばれていて家庭用蓄電池の寿命を知る上で非常に重要になります。
サイクル数とは、充電量が0の状態から満充電になって使い切るまで期間を指します。
1日1回充電量が0の状態から満充電になって使い切れば1サイクル、2回行えば2サイクルと数えます。
1日に何度も充放電を繰り返せば、バッテリーの劣化を早めてしまいます。
カタログに「12,000サイクル」と書いてあったら12,000回充放電を繰り返せる耐久性を持った家庭用蓄電池ということになります。
使用期間
使用期間とは、「設置してから何年使えるか。」という年数を指します。
サイクル数を年数に直したのが使用期間です。
ここで気になるのが「どうやってサイクル数を使用期間に直すの?」というところだと思います。
サイクル数を使用期間に直す式は、次の通りです。
サイクル数÷365日/1年=使用期間
寿命が12,000サイクルの家庭用蓄電池の使用期間は、
12,000サイクル÷365日≒33年(1日1サイクルの場合)
12,000サイクル÷730日≒16年(1日2サイクルの場合)
2023(令和5)年現在販売されている家庭用蓄電池は性能や使い方によって違いはありますが、1日2サイクルで稼働していることが多いため自分で使用期間を調べる場合は、「730」を使うようにしましょう。
蓄電池の種類別寿命
2023(令和5)年現在販売されている家庭用蓄電池に使われているバッテリーは、「ニッケル水素電池」、「リチウムイオン電池」、「鉛蓄電池」、「NAS電池」の4種類があります。
家庭用蓄電池は、バッテリーに使われている素材によって寿命が違います。
それぞれの素材の特徴と寿命について詳しく説明します。
ニッケル水素電池
私たちの身の回りにはさまざまな電池を見かけることがありますが、その中でも最も一般的なのがニッケル水素電池です。
多くの人が一度は使ったことがあるのが、乾電池という製品です。
乾電池と同じような形状をしていますが、ニッケル水素電池は充放電ができるため、「二次電池」とも呼びます。
特徴として、「高出力で長時間使える。」、「充電できるので乾電池よりも長時間使える。」、「過放電に強い。」といったメリットがありますが、一方で「使用していない時でも勝手に放電してしまう。」「購入費用が乾電池よりも高い。」といったデメリットも存在します。
ニッケル水素電池の寿命は、使用頻度などによって違いはありますが、一般的には50サイクル~100サイクルと言われています。
<ニッケル水素電池>
リチウムイオン電池
2023(令和5)年現在販売されている家庭用蓄電池に内蔵されているバッテリーの中で、最も一般的に使用されているのはリチウムイオン電池です。
鉛蓄電池よりも小型軽量化され大容量の電気を充放電できる電池として開発されました。
このバッテリーは、数百回から数万回の充放電に耐えるように設計されており、携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラ、ノートパソコンのバッテリーとして広く使用されています。
らに、近年では電気自動車やプラグインハイブリッド車のバッテリーにもリチウムイオン電池が採用されています。
2023(令和5)年現在、リチウムイオン電池の寿命は、メーカーや性能によって異なりますが、一般的には3,000サイクルから17,000サイクルと言われています。
<リチウムイオン電池>
鉛蓄電池
鉛蓄電池は、日本で最も古い蓄電池です。
原料である鉛は、リチウムイオン電池の原料に使われているリチウム・イオン・マンガンなどと比較して費用を抑えられます。
また、他の蓄電池よりも高い電圧を出力できます。
ですが、大型かつ高重量のため一般家庭に設置するのは難しいです。
2023(令和5)年8月現在、鉛蓄電池は重量を感じにくい自動車のバッテリーに使用されています。
設置場所や使用頻度によって異なりますが、一般的には3,150サイクルと言われています。
<鉛蓄電池>
NAS電池
NAS電池は、日本ガイシ株式会社が開発した蓄電容量が1,000kWhを超える蓄電池です。
原料に使われているナトリウムは、火災が起きた時に通常の消火方法では消火できないことや、サイズもトラック積み荷を運ぶコンテナ程度あるため家庭用としては販売されていません。
NAS電池は、商業施設や官公庁、学校などで災害・停電対策として導入されています。
NAS電池の寿命は使用頻度によって違いはありますが、4,500サイクルと言われています。
<NAS電池>
参考資料:日本ガイシ株式会社HP
蓄電池は寿命がくればどうなる?
家庭用蓄電池の購入を検討している人からすると「寿命が来たら壊れて使えなくなるの?」と感じていると思います。
家庭用蓄電池もテレビや洗濯機、冷蔵庫と同じ電化製品のためいつかは寿命が来ます。
テレビなどは、寿命が来ると壊れてしまって使えなくなるのに対して、家庭用蓄電池は寿命が来たからといって使えなくなる訳ではありません。
家庭用蓄電池の寿命とは、「蓄電能力の低下」を指します。
2023(令和5)年8月現在、最も多く販売されているリチウムイオン電池は、設置して使い続けると毎年0.2%~0.5%ずつ経年劣化していきます。
家庭用蓄電池の寿命は、一般的には10年~15年と言われています。
15年使い続けたとして3%~7.5%は、蓄電能力が下がります。
ですが、家庭用蓄電池本体が故障せずに使えたとしても、モニターや電気を変換するパワーコンディショナーは寿命が来ると交換しなければならない可能性があります。
蓄電池は寿命がくれば買い替えが必要?
すでに家庭用蓄電池を導入している人もこれから購入を検討している人も同様に思っていることは、「家庭用蓄電池は寿命が来たら買い替えが必要かどうか。」だと思います。
家庭用蓄電池が本格的に販売されはじめてから10年経過していないため、家庭用蓄電池の寿命が来たからと言って替えが必要かどうかが分からないのが現状です。
実際に2023(令和5)9月現在、家庭用蓄電池の寿命が原因で買い替えたいう事案はほとんどありません。
ですが、家庭用蓄電池は本体だけでなく電気を変換してくれるパワーコンディショナーや放電量や充電量が分かるモニターなどは、寿命が来たら買い替える必要があります。
交換しないと、充電量が落ちたり放電量が少なくなったり、充放電量を確かめられないため買い替えましょう。
蓄電池の寿命をのばすためには?
家庭用蓄電池を購入しようと思うと、容量が小さい製品でも1,300,000円以上の費用が掛かります。
そのため、「少しでも長く使いたい。」というのが本音だと思います。
家庭用蓄電池の寿命を伸ばすための方法は、全部で4つあるので詳しく説明します。
過放電・過充電は避ける
過放電とは、充電量が0の状態になっても放電が続いている状態を指します。
過放電の状態が続くと、家庭用蓄電池内が高温になってダメージを受けてしまうため寿命を縮めてしまいます。
過充電とは、過放電とは逆で充電量が100%になったあとも充電を続けている状態を指します。
充電量が100%になったあとも充電量を続けると過放電と同様に家庭用蓄電池内が高温になってしまうため寿命を縮めます。
2023(令和5)年現在、家庭用蓄電池に使われているリチウムイオン電池は、高温に弱いという特徴を持っているため過放電・過充電の状態を続けると寿命を縮めてしまう可能性が高いです。
2023年現在販売されている家庭用蓄電池には、過充電・過放電にならないようなシステムが内蔵されていますが、モニターなどでも充電量・過放電になっていないかを見ておくと良いでしょう。
家庭用蓄電池の種類に関する詳しい記事はこちら⇒家庭用蓄電池とは?その仕組みやメリット・デメリットを解説!
保証の長い蓄電池を選ぶ
家庭用蓄電池の寿命を長くする方法の1つは、長期間の保証を提供している製品を選ぶことです。
2023(令和5)年現在、販売されている家庭用蓄電池の保証は次の通りです。
・本体保証
・容量保証
・周辺機器保証
・自然災害補償(メーカーによって有償)
・工事保証
保証内容は次の通りです。
・メーカー保証:蓄電池本体に関する保証
・容量保証:蓄電容量に関する保証
・周辺機器保証:パワーコンディショナーやモニターなどに関する保証
・自然災害補償:自然災害が原因で蓄電池が壊れた場合の保証(メーカーによって有償)
・工事保証:蓄電システム以外の施工時に使った部材に関する保証(販売店側の保証)
ほとんどのメーカーは、保証期間を10年~15年間提供しています。
大手の電機メーカー、例えばシャープやPanasonicなど、有償で最大20年まで延長できるオプションを提供しています。
メーカー保証はもちろん重要ですが工事保証も重要です。
蓄電システムに問題が発生した場合、保証期間内であれば無償で修理または本体交換が行われます。
しかし、工事に関連する問題で充電量が減少した場合、それについてはメーカーではなく各販売店が対応します。
修理費用は販売店や修理箇所によって異なり、交通費を含めて22,000円~110,000円程度かかることもあります。
初期費用を抑えたいと思って安価の工事代金で購入したとしても、将来的な修理費用を考えると有償になったとしても工事保証を付けておくことが賢明です。
エコの王様では無償で10年間の工事保証を付けておりますのでアフターフォローを気にされている人は、是非1度エコの王様にお問い合わせ下さい!
※価格税込で表記しています。
家庭用蓄電池の保証や修理代金に関する詳しい記事はこちら⇒蓄電池の交換費用はどれくらい?交換時期や長く使うための方法
風通しのいい場所に設置する
家庭用蓄電池内部にあるリチウムイオン電池は、「熱」や「高温」に弱いという特性を持っています。
長時間に渡って高温の状態は続くと、リチウムイオン電池がダメージを受けて寿命を縮めてしまう可能性があります。
熱を冷やすために家庭用蓄電池の設置場所は次のような場所が望ましいとされています。
・1日中日光が当たる場所よりも自宅の北面
・一日を通して影になる時間が短い場所よりも、風の通しがいい場所や1日を通して影になる時間が長い場所
家庭用蓄電池を購入する際に、風通しの良い場所などに設置することで、寿命を伸ばせる可能性が高まります。
大容量の蓄電池を選ぶ
家庭用蓄電池の寿命を伸ばすために、大容量・高出力の製品を選ぶという方法があります。
家庭用蓄電池は内部が高温になると、内部のリチウムイオン電池がダメージを受けてしまって寿命を縮めてしまう可能性があります。
蓄電容量の小さい製品よりも大容量のものを選ぶと、過充電や過放電のリスクが低くなります。
ですが、大容量の家庭用蓄電池になると設置費用も変わってきますし、逆に電気代が高くなってしまう可能性もあります。
年間で4,500W発電する家庭用太陽光発電システムを設置した家庭の適切な蓄電容量は次の通りです。
※自家消費30%として計算します。
年間自家消費量:4,500kWh×0.3=1,350kWh・・・(1)
年間余剰電力:4,500kWh-(1)=3,150Wh・・・(2)
1日の余剰電力:(2)÷365日≒8.6kWh
この家庭の場合ですと、蓄電容量9kWhの家庭用蓄電池であれば充分であることになります。
ですが、家庭用蓄電池の寿命を伸ばすために大容量にするのであれば10kWhまでにしておくと良いでしょう。
10kWhを超えると深夜電力(23時~翌朝7時)を使っての充電量が増えてしまうため、電気代が高くなってしまう可能性が高くなる可能性があります。
家庭用蓄電池の容量選びは非常に重要になりますので、分からなことがあれば専門店のアドバイザーに相談するのが一番です。
エコの王様にも家庭用蓄電池の容量に詳しいスタッフが数多く在籍しておりますので、分からないことがあればお気軽に相談下さい。
家庭用蓄電池の容量に関する詳しい記事はこちら⇒蓄電池の容量はどれにするべき?目安や計算方法・選びかたのポイント
蓄電池が寿命かなと思ったときにやるべきこと
家庭用蓄電池が本格的に販売され始めて10年経過していないため、「寿命のサインが分からない。」のが現状です。
ですが、家庭用蓄電池の「寿命かな?」と感じた時にやっておいたほうが良いことは次の3つです。
1.メーカーまたは専門家に相談する:蓄電システム全体の寿命かを正確に判断するために、蓄電池メーカーや専門家に相談しましょう。
メーカーは通常、保証やサポートを提供しており、アドバイスを受けることで問題の解決やより適正な使い方を知れる可能性があります。
2.交換を検討する:家庭用蓄電池が寿命を迎えて故障した場合は、新しい家庭用蓄電池への交換をおすすめします。
交換することによって機器が新しくなるため充電量や放電量も良くなり、停電時に使える時間が長くなったり電気代削減ができる可能性があります。
3.適正に廃棄する:寿命を迎えた蓄電池は適切な方法で廃棄処分する必要があります。
家庭用蓄電池に内蔵されているリチウムイオン電池は高温になると危険があるため、容量が消防法で規制されています。
したがって、廃棄する場合は自治体の指示に従う必要があります。自己判断せず、法的な規制に従いましょう。
家庭用蓄電池と消防法に関する詳しい記事はこちら⇒蓄電池と消防法って関係あるの?設置する際の注意事項を解説!
まとめ
家庭用蓄電池も電化製品であり、ある時点で寿命を迎えます。
家庭用蓄電池の寿命は、電池の種類によって異なりますが、一般的には10年から15年と言われています。
ただし、過充電や過放電を続けたり、高温の環境に設置したりすることは、内蔵されている電池に損傷を与え、寿命を縮める可能性があります。
家庭用蓄電池を設置したり使用したりする際、寿命を延ばすための適切な方法を選ぶことが重要です。
また、蓄電容量を増やすことで、長く使用できる可能性が高まります。ただし、設置費用が高額になる場合もあるため、容量の選択は慎重に行う必要があります。
エコの王様では、家庭用蓄電池の容量選びのポイントや適切な設置場所に関するアドバイスを提供しています。家庭用蓄電池の設置を検討中の方は、エコの王様の専門スタッフにお気軽にご相談ください。
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