蓄電池の種類は?特徴や用途・家庭用産業用についてを比較!
2022/07/25
「蓄電池って何種類ぐらいあるの?」、「最近、蓄電池の話をよく聞くけどメーカーも種類もたくさんあって、何を基準に選べ良いかが分からない。」、「家庭用だけじゃなくて産業用の蓄電池もあるって聞いたけど、違いはなんですか?」など、家庭用蓄電池の普及と共に蓄電池全般に関するお問い合わせを毎日頂いています。
蓄電池と一言で言っても種類もメーカーもたくさんあります。
設置場所や蓄電池の使い方によっても選び方が変わります。
今回は、今から蓄電池の導入をご検討されている人たちのために、蓄電池の種類や使い方・家庭用と産業用の違いについて詳しくお話します!
目次
蓄電池の種類は?
2022(令和4)年7月現在販売されている蓄電池の種類は、全部で7種類ありますのでそれぞれご紹介します。
鉛電池
鉛蓄電池は、日本で販売されている蓄電池の中で最も古いです。
蓄電池内は、電解液である希硫酸の中に銅板は入っています。
+極側には二酸化鉛、-極側には海綿状の鉛が使われていて希硫酸と鉛の化学反応によって、電圧が発生して電気を蓄えます。
放電の仕組みは、電解液中の硫酸が+極側・-極側に移動することによって放電されます。
鉛蓄電池の原料である鉛は、原材料費が安く価格が安定しているため導入しやすい蓄電池です。
ですが、重量があるため家庭用蓄電池とは不向きとされていて、蓄電池の重みを感じにくい自動車のバッテリーとして使用されています。
リチウムイオン電池
リチウムイオン電池は、2022年現在販売されている家庭用蓄電池の中で最も使われている電池です。
鉛蓄電池よりも小型・軽量化して数百回~数万回の充放電に耐えられるように開発されました。
リチウムイオン電池は、家庭用蓄電池だけなく携帯電話やスマートフォン・デジタルカメラ・パソコンのバッテリーとして使われています。
最大で数万回の充放電に耐えられる夢のようなリチウムイオン電池ですが、デメリットもあります。
リチウムイオン電池のデメリットは次の通りです。
・蓄電池の原料となるリチウム・マンガン・コバルトなどのレアメタルの価格が高いため、設置費用が高くなる
・高温に弱いという特性があるため、長時間高温になる場所に設置すると爆発する危険性がある
NAS電池
NAS電池は、日本ガイシ株式会社が開発した超大型の蓄電池です。
蓄電池容量が1,000kWhを超える製品もあります。
そのため、サイズも大きく重量もあるため学校や官公庁などの大型施設で導入されています。
NAS電池に使われているナトリウムは、火災が発生すると普通の消火方法では消火できないため、家庭用蓄電池としては不向きです。
ニッケル水素電池
ニッケル水素電池とは、充放電可能な二次電池を指します。
+極側にニッケル酸化化合物を使用して、-極側には水素を含む水素化合物が使われています。
ニッケル水素電池を使った製品のなかで、代表的な製品が一度は見たことがある乾電池です。
その乾電池の中でもPanasonicが販売している「EVOLTA」(エボルタ)が日本国内のみならず世界中で有名です。
ニカド電池
ニカド電池とは、+極側に水酸化ニッケル、-極側に水酸化カドミウム、電解液に水酸化ナトリウムが使われている充放電可能な二次電池を指します。
ニカド電池は、500回の充放電に耐えられる頑丈さと他の乾電池よりも高出力であるというメリットがあります。
その反面、電池に使われているカドミウムが危険物質であることから、劣化などで液体が漏れ出すと通常の処理方法では処理できないことや、自然放電が他の乾電池よりも多いです。
そのため、現在ではニッケル水素電池やリチウムイオン電池への移行が進んでいる電池です。
燃料電池
燃料電池とは、「水素」と「酸素」の化学反応で電気を発生させる電池を指します。
燃料電池は、水素と酸素を供給し続けることができれば半永久的に電気を作り出すことができるため、乾電池のように使い捨てたり、充電したりする必要がありません。
水素を作り出す原料は、石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料だけでなく、炭や薪といった非化石燃料なども使えます。
電気の化学反応によって燃料も持つエネルギーを直接、電気エネルギーに変換できるので他の発電方法もよりも発電効率が良いです。
また、大気汚染の原因となる物質を排出しない電池でもあります。
燃料電池のなかで有名なのが、トヨタ自動車が販売している水素自動車のMIRAIやお湯を作ると同時に電気を作るエネファームが有名です。
地球環境に優しい燃料電池ですが、購入費用が高いというデメリットがあります。
エネファームに関する詳しい記事はこちら⇒エネファームとは?仕組みやメリット・デメリットを完全網羅!
レドックスフロー電池
レドックスフロー電池とは、住友電気工業(住友電工)が開発した産業用蓄電池です。
レドックスフロー電池は、バナジウムなどのイオンの酸化還元反応を利用して充放電を行う蓄電池です。
電極や電解液の劣化がほとんどなく、蓄電池の寿命は無制限とされています。
また、リチウムイオン電池のように発火性の素材が使われていないことや、NAS電池のように稼働させるために高温で運転する必要もありません。
レドックスフロー電池を開発した技術をつかって、住友電工の家庭用蓄電池は小型・軽量化されて高寿命です。
住友電工の家庭用蓄電池に関する詳しい記事はこちら⇒住友電気工業の蓄電池は超小型!?室内設置もできて長時間使用可能
参考資料:住友電工HP
蓄電池の設置種類
2022(令和4)年現在販売されている蓄電池の設置場所は、全部2種類ありますのでそれぞれの設置場所について詳しくお話します!
据え置き型蓄電池
据え置き型蓄電池は、2022年現在販売されている蓄電池の中でも最も多い種類です。
容量は4kWh~16kWhまであります。
主な充電先を家庭用太陽光発電システムの余剰電力と電気代の安い深夜電力(23時~翌朝7時)です。
安い電気で貯められた電気を自宅の各電化製品で使えるように放電します。
据え置き型の家庭用蓄電池は、種類によってはエアコンやIHクッキングーヒーターといった200V電源を必要とする電化製品も使えます。
ポータブル蓄電池
ポータブル蓄電池とは、持ち運びができる蓄電池を指します。
ポータブル蓄電池は据え置き型家庭用蓄電池のように、家庭用太陽光発電システムや電気代の安い深夜電力を使って充電しません。
ポータブル蓄電池は、家庭用の100Vコンセントを使って充電します。
据え置き型家庭用蓄電池よりもポータブル蓄電池のほうが、容量が小さく500Wh~2,000Wh程度です。
また、重量も軽く設計されていて3.6kg程度が平均的な重さです。
持ち運びができる蓄電池であることから、USBポートだけでなく家庭用100Vコンセントなども接続できます。
携帯電話やスマートフォンの充電や照明器具など消費電力の小さな電化製品であれば、10時間連続使用も可能です。
ポータブル蓄電池は、据え置き型家庭用蓄電池のようにエアコンやIHといった200V電源を必要とする電化製品は使用できません。
ポータブル蓄電池は、自然災害が原因となって発生した停電などにも対応できる非常時用電源としても注目を集めています。
※据え置き型家庭用蓄電池は種類によっては200V電源を必要とする電化製品が使えない製品もあります。
蓄電池のメリット・デメリットに関する詳しい記事はこちら⇒家庭用蓄電池とは?仕組みやメリット・デメリットを初心者向けに解説!
接続方法の違いによる蓄電池の種類
2022(令和4)年現在販売されている家庭用蓄電池には、2種類の接続方法があります。
それぞれの接続方法の特徴とメリット・デメリットについてご説明します。
特定負荷型蓄電池
特定負荷型蓄電池とは、停電時にあらかじめ決められた場所のコンセントからしか電気が使えないシステムを指します。
あらかじめ決められた場所のコンセントからしか電気が使えないため、使える電化製品が限定されます。
使える電化製品が限定されるため普段通りの生活を送るのは難しいですが、家庭用蓄電池に貯められた電気を全負荷型蓄電池よりも長い時間使えます。
停電時に最低限の電化製品が使えれば良いと考えられている人や、家族人数が少ないご家庭には、特定負荷型蓄電池がおすすめです。
特定負荷型家庭用蓄電池のメリット・デメリットは次の通りです。
メリット | デメリット |
・全負荷型より設置費用を抑えられる ・全負荷型の家庭用蓄電池よりも貯められている電気を長時間使える | ・どの場所で電気を使うかを決めておく必要がある ・エアコンやIHといった200V電源を必要とする電化製品は使えない ・使える電化製品が限定される |
全負荷型蓄電池
全負荷型家庭用蓄電池とは、停電時に家中の電気をバックアップできるシステムを指します。
全負荷型家庭用蓄電池は、停電時に家中の電気がバックアップ出来るので、普段と変わらない生活を送れます。
普段と同じ生活が送れるように開発されているため、停電時の最大出力も特定負荷型家庭用蓄電池よりも大きく、5,900Wまで製品もあるので一度に多くの電化製品が使えます。
また、200V電源を必要とするエアコンやIHなどの電化製品も安心して使えます。
小さなお子様や高齢のご両親と住んでいたり、ペットを飼ったりしていて、停電時に家中の電気が使えないと不安というご自宅には、全負荷型家庭用蓄電池がおすすめです。
ですが、家中の電気がバックアップできるため家庭用蓄電池に貯められている電気が特定負荷型家庭用蓄電池よりも早く無くなります。
全負荷家庭用蓄電池のメリット・デメリットは次の通りです。
メリット | デメリット |
・停電時に家中の電気をバックアップできる ・停電時に200V電源を必要とするエアコンやIHなども使える ・最大出力が大きいため、一度に多くの電化製品が使える | ・特定負荷型家庭用蓄電池より設置費用が高くなる ・家中の電気がバックアップできるため、蓄電池内の電気が早く無くなる |
全負荷と特定負荷に関する詳しい記事はこちら⇒【2022年】蓄電池メーカー13社を徹底調査!シーンごとで選ぶべきポイント
家庭用蓄電池と産業用蓄電池の違いは?
家庭用蓄電池と産業用蓄電池の最大の違いは、蓄電容量です。
家庭用蓄電池の容量は、蓄電池に使われているリチウムイオン電池は温度変化に弱いという特性を持っています。
温度変化によって、リチウムイオン電池が爆発してしまう可能性があるため、消防法の規制によって蓄電容量は17kWhまでと決められています。
2022(令和4)年現在販売されている家庭用蓄電池の中で最も容量が大きいのは、ニチコンが販売しているESS-U4X1の16.6kWhです。
それに対して、産業用蓄電池はオフィスや工場・官公庁に設置するために開発されているため、蓄電容量は家庭用蓄電池の数十倍~数百倍になる製品もあります。
蓄電池は、蓄電容量が増えれば増えるほどサイズが大きくなります。
産業用蓄電池は、家庭用蓄電池よりも容量もサイズも大きくなるため、一戸建て住宅には設置できません。
産業用蓄電池にはUPS(無停電電源装置)が搭載されている機種が多く、停電が発生したとしてもシステム自体がシャットダウンすることもなく蓄電池に貯められた電気を給電できます。
一方で、家庭用蓄電池にはUPS機能が付いていない商品が多いため停電が発生した時に数秒~数分間、給電するまでの時間が掛かることがあります。
UPSに関する詳しい記事はこちら⇒V2Hプレミアムplusの性能や価格は?NEWモデル誕生
蓄電池の種類のまとめ
みなさんいかがだったでしょうか?
今回のお話をまとめると、
・2022(令和4)年7月現在販売されている蓄電池の種類は、全部で7つある!
・2022(令和4)年7月現在販売されている蓄電池の設置方法は、据え置きとポータブルの2種類ある!
・2022(令和4)年7月現在販売されている蓄電池の接続方法は、全負荷型と特定負荷型の2種類ある!
・家庭用蓄電池と産業用蓄電池の違いは、蓄電容量!
蓄電池と一言で言ってもメーカーもたくさんありますし、種類もたくさんあります。
設置場所や使い方によって選ぶ蓄電池は変わります。
選択肢が多い分、自分一人で調べるのには時間が掛かります。
分からないことは、家庭用蓄電池や産業用蓄電池に詳しいスタッフがいる販売店に聞くのが1番です。
エコの王様にも、家庭用蓄電池や産業用蓄電池に詳しいスタッフがおりますので、蓄電池の導入をご検討されている人は是非1度エコの王様にお気軽にお問い合わせください!
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