V2Hとは?家庭用電気にしてくれるその仕組みについて徹底解説!
2021/10/14
「V2Hって良く聞くけど実際は、どんな製品なの?」、「V2Hがあれば電気自動車のバッテリーを蓄電池替わりに使えるって聞いたけど本当?」など、V2Hに関するお問い合わせが、最近エコの王様でも増えています。
V2Hは電気自動車と自宅を繋ぐ重要な製品として、今注目を集めています。
そこで、今回はV2Hの仕組みとメリットについて詳しくお話します。
目次
V2Hとは?
V2Hとは、「Vehicle to Home」(ビークル トゥ ホーム)の略称で、日本語訳すると『クルマから家へ』という意味で、電気自動車やプラグインハイブリッド車(PHEV)のバッテリーに貯められた電気を自宅で使うためのシステムのことを指します。
通常、電気自動車やPHEVを自宅の電源を使って充電することはあっても、貯められた電気を使う事は出来ませんでした。
V2Hを設置すれば停電が起きた時に、電気自動車やPHEVのバッテリーを蓄電池として使えるようになりました。
V2Hの歴史はまだ浅く、2012(平成24)年に、日本の電子機器メーカーであるニチコンがV2Hシステム、「EVパワー・ステーション」として世界で初めて販売を開始しました。
2020年度までの総出荷台数は、8,500台です。今後は政府も2050年までに販売される全ての自動車を電気自動車か燃料電池自動車にすることを目標しており、今後もV2Hの販売台数は増える見込みです。
2021年10月現在、V2Hシステムを製造・販売しているのは、ニチコン・デンソー・東光高岳の3社で最も販売しているのがニチコンです。三菱電機は2021年3月を最後にV2H事業から撤退しました。
V2Hの仕組みについて
V2Hは、簡単に言うと「電気の変換器」です。
電気自動車やPHEVのバッテリーに貯められている電気は、太陽光発電システムで発電された電気と同じで直流電流です。
私たちが良く使っている電気は、各電力会社から交流電流して送られてきてテレビや冷蔵庫などが使えます。従って、電気自動車やPHEVに貯められた電気を直接電化製品に使う事ができません。
V2Hが電気の変換器になって電気自動車やPHEVのバッテリーに、貯められた電気を直流電流を交流電流に変換して各電化製品に使えるようにしています。
逆に電気自動車やPHEVを充電する時は、交流電流を直流電流に変換して充電します。
V2Hが電気を変換する動きは、太陽光発電システムや蓄電システムのパワーコンディショナーと同じ働きをしています。
※直流電流とは、電気の流れる方向がまっすぐな場合の電流を指します。
※交流電流とは、電気の流れる方向が変化する場合の電流を指します。
V2Hの良さ・メリット
V2Hが開発されたことによって、今まで出来なかった電気自動車やPHEVのバッテリーに貯められた電気を自宅で使えるようになりました。
この他にもV2Hが開発されたことによって得られるメリットは、全部で5つあるのでそれぞれご説明します。
家全体に電気自動車の電気が使える
V2Hのメリットの1つ目は、電気自動車を蓄電池として自宅で使えることです。
V2Hが開発されたことによって、家庭用蓄電池と同じように電気自動車のバッテリーに貯められた電気を日常生活や停電時に使えるようになりました。
家庭用蓄電池の蓄電容量は、消防法によって20kWhまでと決められているのに対して、現在V2H対応の電気自動車のバッテリー容量は、10~62kWhまであります。
日産電気自動車リーフe+(バッテリー容量62kWh)の場合、停電時に使う電化製品の消費電力よっても多少の違いはありますが、3~4日程度であれば家中の電気を賄うことが出来ます。
各電化製品の消費電力に関する詳しい記事はこちら⇒蓄電池の容量はどれくらいが適切?失敗しない蓄電池の選びかた
V2H対応電気自動車に関する詳しい記事はこちら⇒【2021年最新版】V2Hの対応車種を完全網羅!メーカーや車種を解説
充電時間を減らせる
V2Hのメリットの2つ目は、充電時間を短縮できることです。
V2H開発以前の電気自動車の充電方法は、自宅にある100・200vコンセントに充電スタンドを繋いで充電するか、ガソリンスタンドや高速道路のPA・SAなどに設置されている充電スタンドを使って充電されていたため、満充電になるまでに時間が掛かっていました。
V2Hが開発されたことによって、満充電になるまでの時間が従来の半分で出来るようになりました。
分かりやすくお伝えすると、日産電気自動車リーフe+(バッテリー容量62kWh)を100・200v電源を使って充電する場合の充電時間は、約25時間です。
V2Hを使って充電した場合の充電時間は、約12.5時間です。
※現在V2H対応している全ての車種で充電時間は、従来の半分で済みます。
蓄電池との組み合わせができる
V2Hのメリットの3つ目は、家庭用蓄電池と併用できることです。
家庭用蓄電池と併用して使って頂けるのですが、注意するべき点が1点だけあります。
その注意点とは、蓄電池のメーカーです。
日本で最も売れているのは、ニチコンのV2Hシステム「EVパワー・ステーション」です。
ニチコンのV2H担当の方に家庭用蓄電池とV2Hと併用についてお話をお伺いしたところ、「ニチコンのV2Hと家庭用蓄電池を併用する場合は、ニチコンの家庭用蓄電池との併用をおすすめします。その理由は、ニチコンでV2Hの動作確認が取れている蓄電池が、ニチコンの蓄電池だけだからです。」とのお話をして頂きました。
現在ニチコンのV2Hと動作確認が取れている蓄電池は、次の通りです。
・ESS-U4M1(蓄電容量11.1kWh/単機能型)
・ESS-H2L1(蓄電容量12kWh/ハイブリッド型)
・ESS- U4X1(蓄電容量16.6kWh/単機能型)
・ESS-U2M1(蓄電容量11.1KWh/単機能型)
すでに蓄電池をされているご自宅でV2Hを導入される場合は、蓄電池のメーカーも重要となりますのでご注意下さい。
家庭用蓄電池は、太陽光発電システムで発電された電気や電気代の安い深夜電力を貯められます。
家庭用蓄電池とV2Hの併用で最も経済的な方法は、電気自動車の充電を蓄電池に貯められた電気を使って充電することです。
そうすれば、通常の電気を使うことが無いため、電気代の節約ができます。
ニチコンの蓄電池に関する詳しい記事はこちら⇒ニチコンの蓄電池とは?選ばれる理由と選びかたについて徹底調査!
ガソリン代が節約できる
V2Hのメリットの4つ目は、ガソリン代を節約できることです。
電気自動車は、バッテリーに貯められた電気を使って走行するため、ガソリン代が掛かることはありません。
ですが、ここで問題になってくるのが電気自動車を満充電に掛かった電気代と、ガソリンを満タンに掛かったガソリン代のどちらが費用を抑えることが出来るかという問題です。
今回は、日産リーフe+(バッテリー容量62kWh)を満充電するために掛かった電気代と、62L入る普通自動車でガソリンを満タンにするために掛かったガソリン代で比較してみます
電気自動車の場合
日産リーフe+のバッテリー容量は62kWhです。
関西電力のはぴeタイムR(昼間の電気代1kWhあたり26円)をご利用されているご家庭で1回の充電に掛かる電気代は、次の通りです。
62×26円/kWh=1,612円です。
ガソリン車の場合
現在のガソリン代を仮に1Lあたり150円で計算した場合に掛かるガソリン代は、次の通りです。
62×150円/L=9,300円です。
電気自動車を満充電する方がガソリン車に燃料を入れるよりも約7,700円安いことが分かります。
補助金がある
V2Hのメリット5つ目は、補助金があることです。
2021年現在、V2Hに対する補助金は国からの補助金と各自治体からの補助金があります。
さらに国の補助金は、経済産業省と環境省の2つがあります。
各自治体からの補助金については、補助金を出している自治体と補助金を出していない地域があります。
各自治体からの補助金に関する情報は、お住まいの地域のホームページでご確認下さい。
経済産業省と環境省の補助金は次の通りです。
経済産業省
事業名 | 「災害時にも活用可能なクリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」 |
補助金名 | 「令和2年度第3次補正予算クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」 |
条件 | 「電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池自動車」とV2Hを同時購入すること。 |
補助金上限額 | 設置費:75万円/工事費:40万円 |
申請期間 | 令和3年7月1日~令和3年9月30日 ※今年度は9月9日に募集を終了しています。 |
引用:経済産業省HP
参考資料:経済産業省補正事業の追加申請 環境省補正事業の申請期限延長について
環境省
事業名 | 「再エネ電力と電気自動車や燃料電池自動車等を活用したゼロカーボンライフ・ワークスタイル行導入モデル事業」 |
補助金名 | 「令和2年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」 |
条件 | 「電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池自動車」を購入すること |
補助金上限額 | 設置費:75万円/工事費:40万円 |
申請期間 | 令和3年2月26日~令和3年10月29日(必着) ※現在、申請は延長されています。 |
引用:環境書HP
V2Hの仕組みのまとめ
みなさんいかがだったでしょうか?
今回のお話をまとめると、
・V2Hの仕組みは、太陽光発電や蓄電池にもあるパワーコンディショナーと一緒!
電気自動車に貯められた電気は、直流電流なので各電化製品に使えるように交流電流に変換してくれます。
・V2Hのメリットは全部で5つ!
電気自動車のバッテリーを蓄電池として使える
充電時間を従来の半分に出来る
蓄電池と併用できる
ガソリン代が節約できる
補助金が使える
V2Hが登場したことによって電気自動車に貯められた電気を自宅で使えるようになりました。
V2Hはまだまだこれからの業界です。
全世界の流れや日本の流れを見ていると、これから電気自動車もV2Hも販売台数は増える見込みです。
今後のV2Hの動向を注意深く見守りましょう。
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