太陽光の売電は11年目以降どうなる?卒FITの問題や対応について
2023/02/11
「もうすぐ太陽光発電の売電が終わるんですがどうしたらいいですか?」、「売電期間が終わっても売電できるんですか?」、「売電期間が終わっても損をしない方法を教えて下さい。」など、太陽光発電システムを設置して10年が経過して売電期間が終了する家庭からの問い合わせが増えています。
家庭用太陽光発電システムを設置して11年目になると売電が大幅に下がる卒FITの問題に直面します。
そこで、今回は家庭用太陽光発電システム設置して11年目になる人やすでに11年以上が経過した人たちのために、今後の対策について詳しくお話しします!
目次
太陽光売電の11年目以降の問題とは?
太陽光発電システムを設置してからの10年間は、国が定めた売電価格で電気を買い取ってくれる制度があります。
設置後10年が経過し売電価格下がってしまう家庭が増えています。
なぜ太陽光発電システムを設置して10年が経過すると売電価格が下がってしまう理由を知らない人は多いです。
太陽光発電システムを設置して10年経過すると売電価格が下がってしまう理由と、どのくらい売電価格が下がるのかについて詳しく説明します。
11年目以降と関係性のあるFIT制度について
家庭用太陽光発電システムには、発電された電気を国が定めた売電価格で10年間買い取ってくれる固定価格買取(FIT)制度があります。
FIT制度が始まったのは、2011(平成23)年8月で「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」の1部としてスタートしました。
FIT制度が始まる前の売電価格は、1KWhあたり24円で販売されていました。
FIT制度が本格的に始まった2009年(平成21)年には、売電価格が1kWhあたり24円から48円に引き上げられました。
売電価格が引き上げられたことによって日本全国で太陽光発電システムが普及しました。
ですが、2012(平成24)年に売電価格が1kWhあたり42円に引き下げられてからは毎年下がっています。
2023(令和5)年度の売電価格は、1kWhあたり16円にまで下がりました。
ここで気になるのが「どうして売電価格が下がっているか。」だと思います。
そもそも売電制度が始まった頃の考え方は、「売電制度がスタートして10年が経過した2019(令和元)年には、売電価格を最初の24円に戻す。」前提で始まりました。
そのため、毎年売電価格は下がっていて2023年度以降も下がる見込みです。
※価格は、全て税込価格で表記しています。
11年目以降で売電価格はどれくらい下がる?
家庭用太陽光発電システムの売電期間は10年で、11年目以降は売電価格は下がります。
11年目以降の売電価格は、各電力会社によって違いますので紹介します。
電力会社名 | 売電価格(kWh/円) |
北海道電力 | 8円 |
東北電力 | 9円 |
東京電力 | 8.5円 |
中部電力 | 7円 |
北陸電力 | 8円 |
関西電力 | 8円 |
中国電力 | 7.15円 |
四国電力 | 7円 |
九州電力 | 7円 |
沖縄電力 | 7.5円 |
売電価格が最も高かった48円や42円だった頃に家庭用太陽光発電システムを設置した自宅からすると6分の1~7分の1にまで下がっています。
※売電価格は全て税込価格で表記しています。
太陽光発電システムの売電に関する詳しい詳しい記事はこちら⇒2023年最新版!太陽光発電の売電価格は?手続きや終了後にやるべきこと
太陽光発電の2019年問題とは?
売電価格が48円になった2009(平成21)年に日本全国で太陽光発電システムが普及しました。
2009年に太陽光発電システムを設置した人たちが2019(令和元)年の11月頃から順番に高額な売電価格で電気を買い取ってくれるFIT制度が終了します。
これを「卒FIT」と呼んでいます。
FIT制度が終わり始める時期が2019年からだったので、2019年問題と言われています。
太陽光の売電は11年目以降でも可能
太陽光発電システムの売電価格は、設置後10年以上が経過すると売電価格が下がります。
売電価格は下がりますが売電はできます。
売電価格は高い時よりも6分の1~7分の1にまで下がりますので売電価格が高い時と比べると経済効果は見えにくいです。
少しでも経済効果を上げるためには、売電先を大手電力会社から少しでも1kWhあたりの売電価格が高い所に変更も1つの方法です。
11年目以降の売電価格が高い企業は、企業によって多少の違いはありますが1kWhあたり8円~22円です。
ですが、売電価格が高い企業の売電期間は、無制限ではなく最大でも2年程度が多いため、売電期間が終わる前に次の対応を考えておく必要があります。
太陽光の売電以外で11年目以降に得する方法は?
太陽光発電システムの売電期間が終了すると、売電価格が大幅に下がると「太陽光発電を設置している意味がない。」と思っている人も多いです。
太陽光発電システムで発電された電気は、売電以外にも得する方法が全部で4つあるので説明します!
メインは自家消費で余ったら売電
2023(令和5)年2月現在売電価格は、1kWhあたり17円で買い取られています。
FIT制度が始まった頃の売電価格、1kWhあたり48円と比べると約3分の1に下がっているため、売電するよりも自家消費するほうが経済効果が出やすいです。
2023年現在では太陽光発電システムと同時に家庭用蓄電池を設置して自家消費する家庭が増えています。
その理由は、2021(令和2)年頃から日本全国で電気代の高騰が続いているためです。
また電気代が高騰している理由は、燃料調整額と再エネ賦課金です。
火力発電に依存している日本では、燃料となる石油・石炭・天然ガスと資源を海外から輸入しています。
国際情勢や円安などの影響で燃料調整額は2021(令和4)年頃から急上昇しています。
2023(令和5)年現在の燃料調整額は、電力会社によって多少の違いはありますが1kWhあたり8円~11円程度です。
もう一つの再エネ賦課金は、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の略称で2012(平成24)年からスタートしました。
再エネ賦課金は年々上昇しており2023(令和5)年度は1kWhあたり3.45円です。
今からの2018(平成30)年の2.9円と比べても2割程度値上がりしています。
再エネ賦課金は今後も上昇すると見込まれており2030(令和12)年には1kWhあたり5円まで上がるとされています。
燃料調整費も再エネ賦課金も電気使用量に応じて課金されるため電気を使えば使うほど電気代が上がります。
家庭用太陽光発電システムを設置しておけば電気使用量は削減できて、電気代を削減できます。
電気代が高いことや売電価格も下がり続けていることもあって売電するよりも自家消費したほうが、経済効果が見えやすいので自家消費して余った電気を売電する家庭が増えています。
※価格は全て税込価格で表記しています。
電気代に関する詳しい記事はこちら⇒【2023年】電気代の値上げはいつ?生活に困らないために知っておくべきこと
再エネ賦課金に関する詳しい動画こちら⇒【知らないと絶対損する】再エネ賦課金って何?これから電気代はもっと高くなる?
災害用に電気を確保する
家庭用太陽光発電の売電が終わったあとは、売電するよりも家庭用蓄電池と組み合わせて災害用の非常用電源として確保すれば得できます。
家庭用太陽光発電システムが発電している日中であれば非常用電源して電気を使えます。
停電時に使える家庭用太陽光発電システムの電気は、パワーコンディショナーの性能上1,500Wまでしか出力できませんが携帯電話やスマートフォンの充電、冷蔵庫・テレビといった電化製品を使えます。
ですが、発電しなくなった夕方以降は停電状態になります。
停電時に発電しなくなった夕方以降も電気を使うためには家庭用蓄電池が必要です。
家庭用蓄電池は、家庭用太陽光発電システムの余剰電力と電気代の安い深夜電力(23時~翌朝7時)を貯められるため、太陽光発電システムが発電しなくなった夕方や夜の時間帯に放電すれば1日を通して電気が使えます。
また、全負荷型200V対応の家庭用蓄電池を設置すれば停電時に家中の電気をバックアップしながら200V電源を必要とする電気製品も使えます。
卒FIT後の家庭用太陽光発電システムで発電された電気を有効に使うためには、家庭用蓄電池の設置をおすすめします。
家庭用太陽光発電システムと家庭用蓄電池の組み合わせに関する詳しい記事はこちら⇒太陽光発電と蓄電池のセットは元が取れる?仕組みや電気の動きについて解説!
電気自動車との連携
2022(令和4)年頃から日本全国で電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の普及が進んでいます。
もちろん脱炭素やカーボンニュートラルの実現に向けて全世界が動いていることもありますが、家庭用太陽光発電システムの余剰電力の有効活用としても普及しています。
家庭用太陽光発電システムの売電が終われば売電価格は、1kWhあたり7円~10円にまで下がります。
売電期間が終わった自宅では、家庭用蓄電池やEV・PHEVに充電するか安い売電価格で売電し続けるかを選ぶ必要があります。
家庭用蓄電池よりもEVやPHEVの方がバッテリー容量が大きいため、多くの自宅ではEVやPHEVを購入して非常用電源や家庭用太陽光発電システムが発電しなくなった夕方以降に放電すれば一日を通して電気を自家消費できます。
家庭用太陽光発電システムとEV・PHEVを連携させるために開発されたのが、V2H(Vehicle to home)システムです。
V2Hシステムは、EVやPHEVに貯められた電気を自宅で使えるように開発されました。
V2Hシステムがあれば家庭用太陽光発電システムで発電された余剰電力を使っての充電時間を短縮できます。
また、夜間の時間帯に充電せずに済むので電気代節約もできます。
V2Hシステムに関する詳しい記事はこちら⇒V2Hとは?家庭用電気にしてくれるその仕組みについて徹底解説!
家庭用太陽光発電システムとV2Hシステムに関する詳しい記事はこちら⇒太陽光がないけれどV2Hは使えるの?正しい方法について解説
V2Hシステム対応車種に関する詳しい記事はこちら⇒【2022年8月版】V2Hの対応車種!全メーカーと詳細を解説!
太陽光発電を撤去
家庭用太陽光発電システムの寿命は、20年~25年と言われているため設置してしまえば取り外すことがな製品です。
家庭用太陽光発電システムを設置して10年以上経過すると売電価格が下がることから撤去して、その後の維持費を浮かす方法もあります。
太陽光発電システムは、2年に1度~4年に1度は定期メンテナンス・点検が必要です。
その時の費用が販売店やメンテナンス費用が5万円以上掛かることあります。
また、パワーコンディショナーの寿命が10年~15年と言われているため交換する必要があります。
交換費用は、メーカーや容量によって多少の違いはありますが、33万円~44万円程度掛かります。
家庭用太陽光発電システムの撤去費用が25万円程度と言われているので、パワーコンディショナーを新しくするよりも費用を抑えられるので、撤去してしまうのも1つの方法です。
ですが、家庭用太陽光発電システムを撤去したあとは、屋根の補修や葺き替え・塗装し直す必要があるので、その分の費用と比較して「太陽光を残したほうがいいのか。」、「太陽光を撤去したほうがいいのか。」を考える必要があります。
家庭用太陽光発電システムの寿命に関する詳しい記事はこちら⇒太陽光パネルの寿命は何年?耐用年数との違いや劣化させないためのテクニック
家庭用太陽光発電システムのメンテナンス費用に関する詳しい記事はこちら⇒太陽光発電の維持費は?メンテナンスや寿命について解説!
太陽光売電の11年目以降は何か手続きが必要?
問い合わせを頂く中で多いのが「太陽光発電を設置して10年以上が経過した場合、何か手続きは必要ですか?」という問い合わせです。
実は、太陽光発電システムを設置して11年目以降に何か特別な手続きが必要な訳ではありません。
ですが、売電価格下がるため安い価格で売電し続けるか家庭用蓄電池やEV・PHEVに充電するかを決める必要はありますし、売電を止めて発電された電気を全て自家消費モードに切り替えるかも合わせて検討が必要です。
将来的に太陽光は売電できなくなる?
2023(令和5)年2月現在の流れとしては、今後も太陽光発電システム(家庭用・産業用)の売電制度は続く予定です。
ですが、30・40年後のことについては決まっていない状況です。
2022(令和4)年からは、FIP制度がスタートしました。
FIP制度とは、フィードインプレミアム(Feed-in-Premium)の略称で、日本より再生可能エネルギの普及が進んでいるヨーロッパでは、すで取り入れられている制度です。
FIP制度は、FIT制度のように固定価格で買い取るのではなく、再エネ発電事業者(太陽光発電システムを所有している人)が売電したときに売電価格に対して一定のプレミアム価格(補助金)を付ける制度です。
FIT制度の時よりも売電価格が上がるため、再生可能エネルギーの普及が進むのではないかと注目されています。
今後はFIT制度よりもFIP制度が主流になって売電制度が続く可能性があります。
参考資料:経済産業省資源エネルギー庁HP
太陽光売電11年目以降のまとめ
みなさんいかがだったでしょうか?
今回のお話をまとめると、
・太陽光発電システムンの11年目以降の問題とは、売電価格が下がってしまうこと!
・太陽光発電システムを設置して11年目以降も売電はできる!
・太陽光発電システムを設置して11年目に以降、得をする方法は全部で4つある!
・太陽光発電システムの売電は今後も続く予定!
家庭用太陽光発電を設置して11年目になると高額な売電価格で電気を買い取ってくれるFIT制度が終了します。
FIT制度が終了すると売電価格が約6分の1~約7分の1にまで下がります。
そのため、買取期間が終わった自宅では今後の対策を考える必要があります。
ですが、11年目以降に得をする方法はいくつもあるので1つにするのは難しいですし、調べるのも限界があります。
分からないことは専門家に任せるのが一番です。
エコの王様には太陽光発電システムや蓄電池に詳しいスタッフが数多く在籍しておりますので、分からないことがあればお気軽に問い合わせ下さい!
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