蓄電池で電気代は安くなるの?高い理由やゼロ円について解説!
2022/10/25
「電気代を節約するために蓄電池を設置したいと思っているんですが、どれくらい電気代が節約できるんですか?」、「蓄電池を設置して電気代が安くならない人もいるって聞いたけど本当?」、「蓄電池を設置すると電気代が0円になるって聞いたけど本当?」など、ここ1~2年の電気代の高騰を受けて家庭用蓄電池を設置しようと考えている人が増えています。
「電気代を節約したい。」と思って家庭用蓄電池を設置している人がほとんどです。
今回は、家庭用蓄電池を設置してどれくらい電気代が安くなるかや電気代が0円になるか、電気代が安くならない理由についても詳しくお話しします!
目次
電気代とは?
私たちが普段支払っている電気代は、次の式で求められます。
基本料金+電気使用量料金(税込)+燃料調整額(税込)+再エネ賦課金(税込)=毎月の電気代(税込)
それぞれの料金について関西電力の従量電灯Aをもとに説明します。
基本料金
基本料金とは、各電力会社が電気の使用量に関わらず支払う固定料金を指します。
関西電力の場合は、電気使用量が15kWhまでの料金も基本料金に含まれています。
私たちがどの電力会社に加入しても必ず支払う料金です。
※従量電灯Aとは、最も多い家庭で採用されている電気契約プランを指します。
電気使用量料金
電気使用量料金とは、使った電気量に対して3段階に分けて料金が上がる料金形態を指します。
関西電力の場合は、電気使用量が15kWhまでは基本料金に含まれているため、15kWh以上の電気を使用した場合に電気料金が掛かります。
電気使用料金の変動は次の通りです。
電気使用量 | 単位 | 料金単価(税込) | |
15kWhを超えて120kWhまで | 第1段階 | 1kWh | 20.31円 |
120kWhを超えて300kWhまで | 第2段階 | 25.71円 | |
300kWh以上 | 第3段階 | 28.70円 |
私たちが支払っている電気代の大部分を占めています。
燃料調整額
燃料調整額とは、火力発電に依存している日本では国の定めた燃料費調整制度に基づいて、火力発電の燃料となる石炭・石油・天然ガスなどを買い上げるための費用です。
燃料調整額は、毎月の電気使用量に対して加算されるため使用量が増えれば増えるほど電気代は高くなります。
また、燃料調整額は毎月変動があるため電気代が高くなる場合もあれば安くなる場合もあります。
燃料調整額が私たちの電気代に影響を及ぼすまでにはタイムラグがあって、価格に変動があった3ヵ月後~5か月後に反映される場合がほとんどです。
2021(令和3)年頃からは、国際情勢や円安の影響を受けて燃料調整額が高くなっていて2022(令和4)10月現在では、1kWhあたり4円(税込)~5円(税込)を上下している。
ここ2~3年の電気代高騰の理由にもなっています。
※燃料調整額は、電力会社によって変動があります。
再エネ賦課金
再エネ賦課金とは、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の略称で、太陽光発電システムをはじめとする再生可能エネルギーで、発電された電気を各電力会社が買取に必要な資金を全国民に負担させるための課金制度です。
再エネ賦課金も燃料調整額と同様に電気使用量に対して加算されるため電気使用量が増えれば増えるほど電気代は高くなります。
この制度がはじまった2012(平成22)年度は1kWhあたり0.22円(税込)だったのに対して、2022(令和4)年5月~2023(令和5)4月までは、1kWhあたり3.45円(税込)です。
今から5年前の2017(平成27)年度の2.64円(税込)と比べても約3割程度値上がりしています。
2030(令和12)年度には、1kWhあたり5円(税込)程度にまで値上がりすると言われています。
どの電力会社に入っても国民全体が一律で支払う課金制度になるので、節電を心掛ける必要があります。
再エネ賦課金に関する詳しい動画はこちら⇒【知らないと絶対損する】再エネ賦課金って何?これから電気代はもっと高くなる?
参考資料:関西電力HP
蓄電池で電気代はどれくらい安くなるの?
2021(令和3)年~2022(令和4)年に掛けて日本全国で電気代の上昇が続いています。
今年の9月にも大手電力会社は、一斉に電気代の値上げをしたばかりです。
「電気代の節約」をするために多くの家庭で家庭用蓄電池を設置されています。
今から家庭用蓄電池の設置を検討している人たちからすると、「蓄電池を設置して電気代が安くなる」かが気になると思います。
今回は、家庭用太陽光発電システムを設置して関西電力の従量電灯Aで電気契約していて、1ヵ月の電気使用量が500kWhの家庭が家庭用蓄電池を導入してどのくらい電気代が削減できるのかを見ていきたいと思います。
エコの王様で1番人気のダイゼブラ電機の家庭用蓄電池、アイビス7(蓄電容量7.04kwh 初期実効容量6.2kWh)を設置したとします。
1ヵ月の電気代(燃料調整額1kWhあたり5円・再エネ賦課金1kWhあたり3.45円・燃料調整額を1kWhあたり5円で計算)
・基本料金:341.1円(税込)
・電力量料金:第1段階105kWh×20.31円(税込)=約2,132円(税込)
第2段階180kWh×25.71円(税込)=約3,599円(税込)
第3段階200Wh×28.70円(税込)=約5,740円(税込)
・燃料調整額:500kWh×5円(税込)=2,500円(税込)
・再エネ賦課金:500kWh×3.45円(税込)=1,725円(税込)
合計:15,696円(税込)
1ヵ月の電気代の節約額
・家庭用太陽光発電システムの電気を家庭用蓄電池に貯めて夜間に放電できる電気量:6.2kWh
・1ヵ月に削減できる電気量:6.2kWh×30日=186kWh
・1ヵ月の消費電力:500kWh-186kWh=314kWh
・基本料金:341.1円(税込)※電気使用量15kWhまでを含む
・15kWh~120kWhまでの電気代:105kWh×20.31円(税込)=2,132円(税込)
・121kWh~300kWhまでの電気代:7,456円(税込)
・301kWh以上の電気代:o円
・再エネ賦課金:3.45円(税込)×290kWh=1,001円(税込)
・燃料調整額:5円(税込)×290kWh=1450円(税込)
合計:12,380円(税込)
1ヵ月の節約額:家庭用蓄電池設置前の電気代15,696円(税込)-家庭用蓄電池設置後の電気代12,380円(税込)=3,316円(税込)
1年間の節約額:3,316円(税込)×12か月=39,792円(税込)
10年間の節約額:37,368円(税込)×10年=397,920円(税込)
※初期実効容量とは、実際に使える家庭用蓄電池の電気量を指します。
※今回の試算では、家庭用太陽光発電システムの自家消費量や売電は加味していません。
※このシミュレーションは概算であり、正確なシミュレーション結果ではありません。
蓄電池の導入で電気代が安くなるケース
家庭用蓄電池を導入して電気代が安くなるケースは、全部で2つあります。
それぞれのケースについての説明とおおよその節約額について説明します。
オール電化で太陽光発電+蓄電池
このケースが最も電気代の節約額が大きくなります。
その理由は、家庭用太陽光発電システムの余剰電力と電気代の安い深夜電力(23時~翌朝7時)までの電気を貯めて必要に応じて放電することによって電気代が節約できます。
オール電化を導入している家庭の場合は、深夜電力が安くなっている料金プランに加入しています。
関西電力の深夜電力が安くなる料金プランはぴeタイムRを利用している家庭の1kWhあたりの電気代は15.2o円(税込)です。
家庭用太陽光発電システムで発電された電気は、電気代は掛かっていません。
オール電化を設置している家庭は、深夜電力に比べると昼間の電気代が割高になっています。
ですが、家庭用太陽光発電システムが発電している日中は、電力会社から買う必要が無くなります。
また、家庭用発電システムで発電された余剰電力と電気代の安い深夜電力を家庭用蓄電池に貯めて、家庭用太陽光発電システムの発電量が不純分な時や、電気使用量の多い時間帯に放電することによって電気代の削減ができます。
オール電化だけの電気代は次の通りです。
1ヵ月の電気使用量が600kWh(朝50kWh・昼450kWh・夜100kWh)の家庭の場合
・基本料金:2,200円(税込)※最初の10kWまで
396円(税込)×0kW=o円
・電気使用量料金:リビングタイム50kWh×22.89円(税込)=1,144.5円(税込)
デイタイム450kWh×26.33円(税込)=11,848.5円(税込)
ナイトタイム100kWh×15.20円(税込)=1,520円(税込)
・燃料調整額:5円(税込)×500kWh=2,500円(税込)
・再エネ賦課金:3.45円(税込)×500kWh=1,725円(税込)
合計:20,938円(税込)・・・①
オール電化と家庭用太陽光発電システムと家庭用蓄電池を設置した場合の電気代は次の通りです。
基本料金:2,200円(税込)※最初の10kWまで
396円(税込)×0円=0円
電気使用量料金:リビングタイム50kWh×22.89円(税込)=1,144.5円(税込)
デイタイム(450kWh-450kWh)×26.33円=0円(税込)
ナイトタイム(50kWh-6.2kWh)×15.20円=665.76円(税込)
燃料調整額:(550kWh-456.2kWh)×5円(税込)=469円(税込)
再エネ賦課金:(550kWh-456.2kWh)×3.45円(税込)=1,618.05円(税込)
合計:6,097円(税込)・・・②
節約額:①-②=14,841円(税込)
1年間の節約額:178,092円(税込)
10年間の節約額:1,780,920円(税込)
※関西電力のはぴeタイムRを使用している前提で計算しています。
※デイタイムの料金は、その他の季節で計算しています。
※デイタイムに家庭用太陽光発電システムで発電された電気を自家消費しないで計算しています。
※家庭用太陽光発電システムの売電は節約額には含まないで計算しています。
※太陽光発電システムの総発電量は4kWで1ヵ月で500kWh発電した場合で計算しています。
※家庭用蓄電池は、アイビス7(初期実効容量6.2kWh)で計算しています。
※このシミュレーションは概算であり、正確なシミュレーション結果ではありません。
オール電化で蓄電池のみ
オール電化で家庭用蓄電池のみを設置している家庭は、オール電化と家庭用太陽光発電システムと家庭用蓄電池を設置した次に電気代が安くなる可能性が高いです。
安くなる理由は、「深夜電力の活用」です。
オール電化を設置している自宅の場合は、深夜電力が安くなる料金プランになっています。
深夜電力が安くなる時間帯(23時~翌朝7時)にエコキュートなどのお湯を沸かしたり家庭用蓄電池を充電したりします。
関西電力のはぴeタイムRを使っている家庭の場合は、深夜電力は1kWhあたり15.20円(税込)に対して、最も電気代の単価が高いデイタイムは1kWhあたり26.33円(税込)です。
昼間の電気代と深夜電力の差は11.13円(税込)になります。
電気代の安い深夜電力を使って家庭用蓄電池の充電すれば昼間に充電するよりも格安で充電ができます。
オール電化だけの電気代は次の通りです。
1日に電気使用量で1ヵ月の電気使用量が600kWh(朝50kWh・昼450kWh・夜100kWh)の家庭の場合
・基本料金:2,200円(税込)※最初の10kWまで
396円(税込)×0kW=o円
・電気使用量料金:リビングタイム50kWh×22.89円(税込)=1,144.5円(税込)
デイタイム450kWh×26.33円(税込)=11,848.5円(税込)
ナイトタイム100kWh×15.20円(税込)=1,520円(税込)
・燃料調整額:5円(税込)×500kWh=2,500円(税込)
・再エネ賦課金:3.45円(税込)×500kWh=1,725円(税込)
合計:20,938円(税込)・・・①
オール電化と蓄電池のみを設置した場合の電気代は次の通りです。
・基本料金:2,200円(税込)※最初の10kWまで
396円(税込)×0kW=o円
・電気使用量料金:リビングタイム50kWh×22.89円(税込)=1,144円(税込)
デイタイム450kWh×26.33円(税込)=11,522.5円(税込)
11,522円―(26.33円(税込)-15.20円(税込))×6.2kWh×30日=9,452円(税込)
ナイトタイム100kWh×15.20円(税込)=1,520円(税込)
・燃料調整額:5円(税込)×493.8Wh=2,469円(税込)
・再エネ賦課金:3.45円(税込)×493.8kWh=1703円(税込)
合計:18,488円(税込)・・・②
節約額:①-②=2,450円
1年間の節約額:29,400円(税込)
10年間の節約額:294,000円(税込)
※関西電力のはぴeタイムRを使用している前提で計算しています。
※デイタイムの料金は、その他の季節で計算しています。
※家庭用太陽光発電システムの売電は節約額には含まないで計算しています。
※家庭用蓄電池は、アイビス7(初期実効容量6.2kWh)で計算しています。
※今回の計算はあくまでも概算での計算になりますので、正確な計算結果ではありません。
参考資料:はぴeタイムRHP
蓄電池で逆に電気代が高くなるのはなぜ?
家庭用蓄電池を設置して電気代が安くなる人が多い反面、電気代が安くならない人もいます。
家庭用蓄電池を設置して安くならない人の特徴は、全部で2つあるので説明します。
初期費用が高すぎる
家庭用蓄電池を購入すると、メーカー・容量・性能によって多少の違いはありますが、130万円(税込)~280万円(税込)程度で販売されています。
そのため、家庭用蓄電池を設置費用の支払いが、安くなった電気代よりも高くなってしまった場合は結果として電気代が高くなるかたになります。
少しでも家庭用蓄電池の設置費用を抑えるためには、相見積もりを取って少しでも安く・条件が良い製品を買うと良いでしょう。
家庭用蓄電池の価格に関する詳しい記事はこちら⇒【2022年最新版】家庭用蓄電池の価格や相場はいくら?少しでも安く購入するための方法
家庭用蓄電池の相見積もりに関する詳しい記事はこちら⇒【2022年最新版】家庭用蓄電池を見積りする際の注意事項について徹底解説!
補助金を活用しない
家庭用蓄電池を少しでも安く購入する方法は、相見積もり以外にもう1つあります。
そのもう1つは、補助金の活用です。
家庭用蓄電池の補助金のなかで最も高額な補助金を出しているのが、一般社団法人環境共創イニシアチブが出しているDER補助金です。
DER補助金を上手く活用できれば最大で100万円以上の補助金を受給できる可能性があります。
2022(令和4)年度のDER補助金の受給金額は次の通りです。
・本体代:最大75万円まで
・工事代:最大40万円まで
・HEMS設置費用:一律5万円まで
今年度DER補助金に関しては当初34億円の予算が計上されていましたが、申請受付が開始された6月1日には予算が大幅に削減されていて3億円になっていました。
申請受付が開始されてから2日後の6月3日には、予算額に達したため申請の受付が終了しました。
その後も何度か追加予算が出されましたが、すぐに予算額に達してしまい申請の受付を終了しています。
DER補助金だけでなく各補助金は、先着順のこと多く自分たちが補助金を申請したとしても予算額に達した段階で補助金を受給できません。
補助金が受給できないと家庭用蓄電池の設置費用が高くなってしまい、電気代が高く見えてしまいます。
家庭用蓄電池の補助金は、事前に各販売店に連絡して補助金の執行条件など聞いておくと良いでしょう。
家庭用蓄電池の補助金に関する詳しい記事はこちら⇒家庭用蓄電池とは?価格やおすすめメーカー・補助金についてを解説!
参考資料:一般社団法人環境共創イニシアチブHP
蓄電池で電気代がゼロになるのは本当?
「蓄電池を設置すれば電気代が0円になる。」と思っている人はいませんか?
家庭用蓄電池を設置することによって電気代が0円になることはありません。
家庭用蓄電池を設置して電気代が0円にならない理由は、全部で2つあるので説明します。
基本料金が掛かる
私たちが普段支払っている電気代の中には、基本料金が含まれています。
基本料金は電気使用量に関わらず支払う料金のため、家庭用蓄電池を設置して使用量が0になったしても電気代が0円になることはありません。
深夜電力を買う可能性がある
家庭用蓄電池の充電は、家庭用太陽光発電システムの余剰電力と電気代の安い深夜電力(23時~翌朝7時)の電気を使います。
家庭用太陽光発電システムの発電量が多い時は、余剰電力だけで家庭用蓄電池を満充電にできる可能性があります。
ですが、家庭用太陽光発電システムの発電量が少なく全て自家消費に回ってしまい余剰電力が発生しなかった場合は、電力会社から深夜電力を買う必要があります。
深夜電力は、昼間の電気代と比べて安い設定になっていますが電気使用量料金が発生します。
また、家庭用蓄電池に貯められている電気よりも消費電力が多い場合は、充電する回数が増えるため電気量料金は掛かりますし、運転モードを蓄電モードに設定している場合は、常に電力会社から電気を買っているため電気量料金が掛かります。
そのため、家庭用蓄電池を設置しても電気代が0になることはありません。
家庭用太陽光発電システムと家庭用蓄電池の組み合わせに関する詳しい記事はこちら⇒太陽光発電と蓄電池のセットは元が取れる?仕組みや電気の動きについて解説!
家庭用太陽光発電システムの発電量に関する詳しい記事はこちら⇒太陽光発電の発電量について!初心者でも分かる計算方法について
家庭用蓄電池の運転モードに関する詳しい記事はこちら⇒蓄電池の運転モードのおすすめな使いかたは?各種モードの違いを解説!
蓄電池電気代のまとめ
みなさんいかがだったでしょうか?
今回のお話をまとめると、
・私たちが普段支払っている電気代は、4つの料金で構成されている!
・家庭用蓄電池を設置すると電気代は、約3,000円~約13,000円程度安くなる可能性がある!
・家庭用蓄電池を設置しても電気代が安くならない理由は全部で2つある!
・家庭用蓄電池を設置しても電気代は0円にはならない!
家庭用蓄電池を設置している人の多くは、「電気代の節約」が目的です。
家庭用太陽光発電システムと家庭用蓄電池を組み合わせて使うかや、オール電化で家庭用蓄電池のみを設置しているか・電気とガスを併用しているかなどによって節約額は変わります。
また、家庭用蓄電池を設置したとしても電気代が安くならない人もいます。
家庭用蓄電池を設置すると電気代が0円になると思っている人もいますが、0円にはなりません。
エコの王様では、お客様からの希望を頂ければ概算の料金シミュレーションもさせております。
家庭用蓄電池を設置してどれぐらい削減できるかを知りたい人は、是非1度エコの王様にお問い合わせ下さい!
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